[メイン] 窓付き : そこは、高いマンションだった。
窓から見える景色は綺麗で、その土地の気候も長閑で

[メイン] 窓付き : ゆったりとした雰囲気で
それでいてどこか……憂鬱で

[メイン] 窓付き : 無機質な部屋の中、一人の少女がベランダへと足を踏み入れる。

[メイン] 窓付き : その表情は、無、だった。

[メイン] 窓付き : 先程までベッドに横たわりおり、こうして空想の世界から帰ってきたばかりで

[メイン] 窓付き : 少女が目にしてきた"夢"の世界で少女は何を見て、そして何を思ったのか
それすらも顔に現れない、無の表情で

[メイン] 窓付き : 「……………………………」

[メイン] 窓付き : 「………きっと、私は……」

[メイン] 窓付き : 「夢の世界でしか…………」

[メイン] 窓付き : ひゅうう。と風が通り抜ける。
少女の、可愛らしいおさげが揺れる。

[メイン] 窓付き : そして少女は、ベランダに置いてある箱の上に立ち。

[メイン] 窓付き : 細目を少し、見開き。
生きとし生ける世界を、ただぼーっと見つめながら。

[メイン] 窓付き : ふらりと、そのまま足を

[メイン] 窓付き : 一歩、前へ─────。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 私は、他人の感情が……あんまり、よく分からなかった。
だからだと思う、学校でもいじめられた。

[メイン] 窓付き : 普通だったら、泣き叫ぶんだろうね

[メイン] 窓付き : もしくは怒るとか……逆上して、やり返すとか……?

[メイン] 窓付き : ……あまり私は、そういった感情に、なりにくかった。

[メイン] 窓付き : 自分でもよく分からなかった。

[メイン] 窓付き : 筆記用具とか、体操着とか……自分の物が隠されたり
机一杯に落書きされたり、死ね、死ね、って罵倒されたりしてきたけど

[メイン] 窓付き : あまり、分からなかった。
ピンと来なかった。

[メイン] 窓付き : 先生から心配されたりしたけど、本当に、よく分からなかった。

[メイン] 窓付き : 私は……ただ、みんなと仲良くしたい、それだけだったのに

[メイン] 窓付き : 私の言葉で、みんなが傷ついて、そうして仕返しするようにいじめが起こって
……やっぱり、よく分からなかった。

[メイン] 窓付き : だから私は、自分が一体何者なのかを知るために……
引きこもって、夢日記をつけることにした。
本に書いてあったけど、夢はどうやら、人の潜在意識が現れるもので
だから、それを日記に書き記して、その内容から自分が一体何者なのかを分析することにした。

[メイン] 窓付き : その結果─────。

[メイン] 窓付き : ………私は、やっぱり……みんなとは、仲良くできない……。
そういう人間なんだっていうことが、分かった。

[メイン] 窓付き : 夢の中で私は、平気で殺人を犯していた。
不思議だった。

[メイン] 窓付き : 通りたいのに通れない、障害になってる人がいた
邪魔だったから、だから包丁で刺し殺した。

[メイン] 窓付き : そういうことを、ずっと夢の中でやっていた。
別に私は、これを何てことないことだと思ってたけど。
でも、調べていくうちに………。

[メイン] 窓付き : 私みたいな人間は………社会に馴染めない、そういう人間だって、分かって。

[メイン] 窓付き : ……そこに、私は一番ショックを受けちゃったな。

[メイン] 窓付き : ……寂しいのって……嫌だから……。
これからも一生、私は"独り"で生きていくしかないんだって、思って

[メイン] 窓付き : 私の居場所は、夢想世界にしかないんだって、分かって

[メイン] 窓付き : 疲れちゃった。

[メイン] 窓付き : ああ、すごい
ジェットコースターってこんな感じなのかな

[メイン] 窓付き : 内臓がせり上がるみたいな感覚が、ちょっと楽しい

[メイン] 窓付き : 数秒で私、死んじゃうんだろうけど。
……それすら達観しちゃってるんだから……笑えちゃうよね。

[メイン] 窓付き :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   : ゴシャア

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 「…………………?」

[メイン] 窓付き : 気が付けば、そこは─────街だった。

[メイン] 窓付き : 何の変哲もない、ただの街。

[メイン] 窓付き : 辺りを見渡しながら、とりあえず歩き進む。

[メイン] 窓付き : ここは死後の世界なのかもしれない
そう思って、好奇心に踊らされて、また夢の世界の時のように
色んな場所に行って、色んな人に出会ってみたくなった。

[メイン] 窓付き : 「……ああ、そっか」

[メイン] 窓付き : 違うよ、多分ここも─────

[メイン] 窓付き : ─────『夢』の世界なんだ。

[メイン] 窓付き : そう思いながら、いつも自分が持ち歩いていた
あの凶器を探そうと、なんと無しにポケットに手を沈めると……。

[メイン] 窓付き : 「…………?」

[メイン] 窓付き : そこには、1枚の紙があった。

[メイン] 窓付き : 「なんだろうこれ……?……こんなの私、持っていたっけ……」

[メイン] 窓付き : そこには、こう書かれていた。

[メイン]   : 『〇△◇へ
 この街に、きっとあなたの望む、素敵な物があります。
 ─────あらゆる叡智を得ることができる、素敵なプレゼントです。
 どこにあるかは、残念ながら教えられません
 だって、"夢"は簡単に手に入れられるものではないでしょう?
 ですがご安心ください、必ずそれは、ここにあります。
 あなたが強く望むのであれば、きっと見つかることでしょう。』

[メイン] 窓付き : 「……あらゆる叡智……?……なんだろう……」

[メイン] 窓付き : 一陣の風に、少女のおさげが揺れる。

[メイン] 窓付き : 「……よく、分からないけど……でも……」

[メイン] 窓付き : 「うん……そっか、そうか……なるほど……」

[メイン] 窓付き : 何か、納得したように、うんうんと頷き。
その紙を再びポケットへ仕舞う。

[メイン] 窓付き : そうして、糸目とおさげの少女は、歩く。

[メイン] 窓付き : 歩く、歩く、歩く。

[メイン] 窓付き : 淡々と、前へ、前へ。

[メイン] 窓付き : その表情は、無ではなく、どこか、ウキウキとした表情にもなっており……。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 「─────諦めるには、まだ早いんだ」

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン]   : ★しょうたいじょう★

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] : 空に月が不吉に輝く。
どこの家屋からか、警告音のようなものが夜道に響いていた。
何かの緊急警報が発せられたらしい。

[メイン] : もっともそんなものもただの一因でしかない。

[メイン] : この夜は、不気味なまでに人気がない。

[メイン] : ……本能に訴えかける不穏な気配が、生命を脅かす危機感が
街中を覆っていた。

[メイン] : それでもこの社会、出歩かないわけにはいかない人間もいるもので──

[メイン] : 一人の男が足早に夜道を走る。
息を切らせている。
何かに追い立てられるように。

[メイン] : それは明確な形ではなかった。
しかし、ここにいてはいけないと、そう感じていた。

[メイン] : ……が。

[メイン] : 次の瞬間。

[メイン] : 男が呻き、悶え。

[メイン] : 僅かの後に、顔を上げた時には。

[メイン] ゼシルウェンシー : ……”俺”になっちゃってるわけですねぇ!

[メイン] ゼシルウェンシー : いやあ、何処の誰かは知りませんがちょいと体を失敬。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ん~~~……良い空気だ!血の匂いがする!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 静かな夜に響く哄笑。

[メイン] ゼシルウェンシー : おっと、自己紹介が遅れまして。

[メイン] ゼシルウェンシー : ゼシルウェンシー。
どうぞ、今後ともよろしく。

[メイン] ゼシルウェンシー : さてさて、何故俺のような男がこの地に降り立ったかと言いますれば。

[メイン] ゼシルウェンシー : ”英知”とかいうのの回収をさる方から仰せつかまりましてぇ……

[メイン] ゼシルウェンシー : と言ってもこっちは俺にとってはただの任務。

[メイン] ゼシルウェンシー : 今夜の本命は、当然、この血の匂いで引かれてやってくる奴らの方。

[メイン] ゼシルウェンシー : そうそう、俺、こういうの好きなんでね。

[メイン] ゼシルウェンシー : いや、だってその英知とか言う奴を探して皆来てるわけじゃないですか。

[メイン] ゼシルウェンシー : 俺は戦いに来てる。

[メイン] ゼシルウェンシー : 戦いに来てる俺が他所見てる奴らに負けるわけねーですもん!

[メイン] ゼシルウェンシー : よそ見してる奴ら相手に、楽に勝つ!!

[メイン] ゼシルウェンシー : いやあ、きっと愉快痛快でしょうねえ。

[メイン] ゼシルウェンシー : まあ、自己紹介はこんな感じで。

[メイン] ゼシルウェンシー : こっから忙しくなるんで、お先に失礼!

[メイン] ゼシルウェンシー : ひひひひひっ!

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン]   :  

[メイン]   : 夜はまだ、明けない。

[メイン] 窓付き : 顔に靄がかかった人達とすれ違いながら、ずっと歩き続けた。

[メイン] 窓付き : 『夢』の世界ではいつだってそうだった
探し物があるなら、進めばいい

[メイン] 窓付き : 途方も無い道だろうと、ずっと歩き続ければ
次の世界がある、そうして見つけたい何かがある

[メイン] 窓付き : そうしている内に、路地裏へと足を踏み入れる。
夜の街の喧騒さが遠く聞こえる程度の場所。

[メイン] 窓付き : こういうひっそりとした場所に、叡智を得られる物があるんじゃないかなって
なんとなく、そう思って、進む。

[メイン] 窓付き : アテなんて無いし、言ってしまえば考え無しの行動に他ならない。
でもきっと、上手くいくよね。

[メイン] 窓付き : ─────どこか、他人事のように考えながら
夜風におさげが揺れる。

[メイン] 甘粕正彦 : 夜風が吹き、そこらの塵塵を運び去ると
白い外套を纏った男が、窓付きの前に現れた

[メイン] 窓付き : 「…………!」

[メイン] 窓付き : その男の顔には─────

[メイン] 窓付き : 靄が、かかっていなかった。

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前も、叡智を求めて血を流す者か……未だ年若いというのに、関心だな」

[メイン] 窓付き : 他とは違う、何かを感じる。
そう思わせるには、十分過ぎるほどだった。

[メイン] 窓付き : 「………おじさん、誰?」

[メイン] 窓付き : 小首を傾げ、そう問う。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、名乗りが遅れたな」

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺は甘粕、甘粕正彦。人間の輝きを確かめる為、此度の戦いに邪魔をさせてもらっている」

[メイン] 窓付き : 夢の中で出会ってきた人とは……何かが、違う。
あるとすれば─────。

[メイン] 窓付き : ─────"熱"。

[メイン] 窓付き : 「…………人間の、輝き」

[メイン] 窓付き : それは─────。

[メイン] 窓付き : 「……偶然だね、おじさん」

[メイン] 窓付き : 「私も……知りたいの ─────"人間"のこと」

[メイン]   : ★あらゆる叡智を得ることが出来る物体★

[メイン]   : それは……

[メイン]   : "ひとつ"しかない。

[メイン] 甘粕正彦 : まるで、夜空に浮かぶ星々のように瞳を輝かせ、期待に胸が高鳴らせながら
太陽の如き意思を漲らせ、男は拳を握りしめる

[メイン] 窓付き : じゃあ

[メイン] 窓付き : この人、"邪魔"だね。

[メイン] 窓付き : 「私、窓付き」

[メイン] 甘粕正彦 : 「なるほど、なるほど……お前もまた、人を追う者か……窓付き」

[メイン] 窓付き : 礼儀として、そう名乗っておき、じっと細目を開き
甘粕を見つめる。

[メイン] 窓付き : こくりと頷き。

[メイン] 窓付き : 「競争になっちゃうね、おじさん」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ハッハッハ、それでこそだ、若人よ」

[メイン] 窓付き : 「……」

[メイン] 窓付き : 「……1つ聞くけど……道、譲ってくれたりとかは、できない?」

[メイン] 窓付き : 「私、知りたいの ……人の心を、どうしても」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……」

[メイン] 窓付き : 「"独り"は……嫌だから」

[メイン] 窓付き : そう言い

[メイン]   : ★ほうちょう★

[メイン] 窓付き : スーパームーンの輝きに反射する、青白い光。

[メイン] 窓付き : 抜き身の刃を、しっかりと手に取る窓付き。

[メイン] 甘粕正彦 : まだ青い故か……夢見がちなのか
いいや、じきにわかる

[メイン] 甘粕正彦 : 命をかける戦いに赴くほどの童女が、譲るなどという言葉を口にした事
それに少しの違和感を覚えながら、甘粕は腰を深く落とし、拳を構えた

[メイン] 窓付き : その構えを見て

[メイン] 窓付き : ああ、そうなんだ、譲ってくれないんだ
そっか……それは、すごく……残念。

[メイン] 窓付き : 人の心って、やっぱり……分からないな。

[メイン] 窓付き : 「じゃあ─────」

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 「─────死んで」

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : そう言い、少女は駆け出す。

[メイン] 窓付き : その速度は尋常ではなかった
一般的な女子高校生の出せる測度では無かった。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ほう!」

[メイン] 窓付き : 倫理観を欠いているからこそ、筋肉に掛ける制御がこれっぽっちも働いておらず。

[メイン] 甘粕正彦 : まさしくそれは人から並外れた速度、技量が伴っていない様に見えるのが残念だが、胸を高鳴らすにはちょうど良い……筈、だが

[メイン] 窓付き : 邪魔なものがあるから、どこかにどかそう
その程度の考えしか、頭には無く。

[メイン] 甘粕正彦 : 「……?」

[メイン] 甘粕正彦 : 戦いの最中にありながら、甘粕は妙な違和感を覚えていた

[メイン] 窓付き : 甘粕正彦という障害物を、壊してしまおう、という……。
そうすれば、邪魔なものは無くなるから
そういう、短絡的な思考の下。

[メイン] 窓付き : まばたきの内に、お互いの距離は一寸にも満たない程までになり
抜き身の刃が、甘粕の腹を抉ろうと、突きを─────。

[メイン] 窓付き : 猪突猛進、まさしくその文字が浮かび上がるほどの
直線に突っ込んできた、包丁片手のおさげの少女。

[メイン] 甘粕正彦 : 迎撃…否

[メイン] 甘粕正彦 : 「確かめさせてもらおうか」

[メイン] 甘粕正彦 : 拳を解き、受け止める様な姿勢を取ると……

[メイン] 窓付き : ………。

[メイン] 窓付き : 速い……。

[メイン] 窓付き : これは……

[メイン] 窓付き : "初めて"だ。

[メイン] 甘粕正彦 : 月夜に煌めく刃先が、甘粕の腹へと突き刺さる

[メイン] 窓付き : 夢の世界の人達は、抵抗せずに刺されてた。
簡単にどかせた。でも……。
……このおじさんは、どこか……やっぱり、違う。

[メイン] 窓付き : 「……躱せたでしょ、今の」

[メイン] 窓付き : そう言い、包丁を遠慮なしに、さらに奥へ、奥へと
力強く突き立てようと。

[メイン] 窓付き : 血管を、内臓を、骨を、全てズタズタに抉ろうと。

[メイン] 甘粕正彦 : そして、人から外れた力を込められて突き刺さった刃は……

[メイン] 甘粕正彦 : そのまま、刺さった時に固定された様に停止していた

[メイン] 窓付き : 「…………」

[メイン] 窓付き : 「………?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……加減をしているのか?」

[メイン] 窓付き : 手が、動かない……?

[メイン] 窓付き : 「……え……?」

[メイン] 窓付き : 糸目が、見開く。
少女の中に、焦りの感情が起き上がる。

[メイン] 窓付き : 「……そんなこと、無いけど……!」
やっぱり、何かおかしい、そう判断し
包丁を引き抜こうとする。

[メイン] 甘粕正彦 : 「どうした、願いがあるのだろう?」

[メイン] 窓付き : 「………っ……!」

[メイン] 甘粕正彦 : 万力に締め付けられている様に、包丁は微塵と動かない

[メイン] 窓付き : う、動かない……!?どうして……!?

[メイン] 窓付き : ここに、固定されてるみたいに……!?

[メイン] 窓付き : 「……だから……何……!」

[メイン] 窓付き : そんなことは、今は……考えすぎても仕方ない
だって、そうだ

[メイン] 窓付き : おじさんの言う通り……"願い"が、あるんだから

[メイン] 甘粕正彦 : 「……なら、お前はなぜ」

[メイン] 窓付き : 咄嗟に、もう片方の腕を振るい、甘粕の顔面へストレートを放とうとし。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ここにいないのだ?」

[メイン] 窓付き : その拳が

[メイン] 窓付き : 止まる

[メイン] 窓付き : 「……………え……?」

[メイン] 窓付き : ………? ……??
……………??

[メイン] 窓付き : ここに、いない……?
……どういう、質問……?

[メイン] 甘粕正彦 : 「貴様の様子は……そうだな、近代の物に例えるのなら」

[メイン] 甘粕正彦 : 「画面の向こうのキャラクター」

[メイン] 窓付き : 「……何、それ………」

[メイン] 窓付き : 糸目の少女は、甘粕を睨みつける。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、わからないだろうか…?」

[メイン] 窓付き : だって、それって……それって………!

[メイン] 窓付き : 「わから……ないよ……!!」

[メイン] 窓付き : 「だって………!!私は……みんなと、仲良くしたいって、思ってて……」

[メイン] 窓付き : 「画面の向こう側にいるキャラクター………?………それ、は……」

[メイン] 窓付き : それ、は………。

[メイン] 窓付き : 少女は、黙り込む。

[メイン] 窓付き : ─────図星だ。

[メイン] 窓付き : 何より苛立つのは……初対面の相手に、自身の本質を全て読まれたこと。
こんな経験は、今まで無いからこそ、混乱する。

[メイン] 窓付き : 「………おじさんは……一体……何なの………!?」

[メイン] 甘粕正彦 : ……感情はある、人間兵器となされた傀儡ではない なら、手の施しようもあるか

[メイン] 窓付き : 「"悪夢"……なの……!?」

[メイン] 窓付き : そうだ、これは、質の悪い悪夢なんだ。

[メイン] 窓付き : 自分でも分かり切ってて、嫌だって思ってる部分
それを、こうも簡単に……私に、突きつけてくるだなんて……!!

[メイン] 窓付き : 「ねぇ……答えてよ……!!……おじさんは……何なの……!?」

[メイン] 窓付き : 悪夢から醒めようと、足掻くように、包丁を持った手に力を込め
何としても引き抜こうと、とにかく力を込める、込める、込める。

[メイン] 甘粕正彦 : しばし、目を閉じて…

[メイン] 甘粕正彦 : 「なるほど」

[メイン] 甘粕正彦 : そう言うや否や、甘粕の足元がぶれ

[メイン] 甘粕正彦 : 刹那、窓付きの腹部へと解き放たれた脚撃が現れる

[メイン] 窓付き : 「!?……ぐ、ほっ……!?」

[メイン] 窓付き : その鋭い一撃は、目に捉える前に窓付きの鳩尾へと叩き込まれる。

[メイン] 窓付き : 困惑状態が、彼女の身体能力のリミッターに制御を加え始めたのだろう。

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺の事は先程名乗った通りだが……」

[メイン] 窓付き : 鈍い痛みが、全身へ、脳へ、発進される。

[メイン] 窓付き : 包丁を握っていた手が、緩み
そのまま窓付きは崩れ落ちる。

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺は甘粕正彦、人の光を愛する者だ……などと述べても、今のお前には虚に消えかねん」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……まあ、良薬はなんとやらだよ」

[メイン] 窓付き : 五月蠅い……五月蠅い……!

[メイン] 窓付き : ……私が……光に、立てないなんて……!
そんなの……っ……!

[メイン] 窓付き : 痛みに逆らいながら、左足を一歩前へ踏み込み。

[メイン] 甘粕正彦 : 「……ほう?」

[メイン] 窓付き : 甘粕へ飛びかかるように
窓付きという狂人の異常性が発露……いや

[メイン] 窓付き : 彼女なりの……

[メイン] 窓付き : ─────"意地"。

[メイン] 窓付き : 「せっかく……!!!」

[メイン] 窓付き : 「人の心が……!!分かるかも、しれないのに………!!!」

[メイン] 窓付き : 「だから……だから!!……まだ……!!」

[メイン] 窓付き :
 ・・・・・・
「醒めたくないの……!!!」
─────この夢から。

[メイン] 窓付き : そうして、甘粕へ飛びかかるように

[メイン] 甘粕正彦 : 言葉を聞き届けた甘粕は、しばし表情を無くし

[メイン] 窓付き : 拳を振るう。人を壊すことに、何の躊躇も無い一撃を。

[メイン] 甘粕正彦 : そして、激しい破裂音に似た音が路地裏に轟き、甘粕は一歩揺らいで下がる

[メイン] 甘粕正彦 : 「……悪くはない、が」

[メイン] 窓付き : 「ハァ……!ハァ……!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「まだ、まだか。目覚めたばかりで、調子も上がらぬ様だな」

[メイン] 甘粕正彦 : どこか残念そうに、だが確かな期待を感じさせる声で甘粕は言葉を述べていく

[メイン] 窓付き : 「っ……!」
嫌でも痛感する。
……私の拳は……届いて、いない。

[メイン] 甘粕正彦 : 「……夢から醒めたくない、か」

[メイン] 甘粕正彦 : 「現実の諸事情から目を逸らし、虚に逃げるとは言語道断……」
「されど……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「意地はあるか、歪ではあるが……」

[メイン] 甘粕正彦 : 今度は甘粕が拳を握りしめ

[メイン] 甘粕正彦 : 「いいだろう、虚に過ぎぬなら消し去るが、目覚めの為なら是非もない!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 声の調子が上がると同時、周囲の空気さえ熱を帯びた様に一変する

[メイン] 甘粕正彦 : そして、大きく拳を振りかぶると──

[メイン] 窓付き : 「………!?」

[メイン] 窓付き : その圧巻の様に、目を見開く
一体、何が起こったというのか、理解が及ぶ前に─────

[メイン] 甘粕正彦 : 炸裂

[メイン] 甘粕正彦 : 窓付きの頬へ固く握られた拳が当たると同時、周囲にある全てが殴り飛ばされた様に、おかしな軌跡を描いて飛んでいった

[メイン] 窓付き : 「ごはぁッッ──────────!?!」
脳が、大きく揺れる。
あまりにも重たい、あまりにも鈍い
あまりにも……"熱い"、一撃。

[メイン] 甘粕正彦 : 当然、殺すつもりこそ無かったが……加減不足なのは見て取れる
必要以上の威力を発揮した拳が振り抜かれる

[メイン] 窓付き : その衝撃は、窓付きの体内をぶっ壊す。
口からも大量の血が吐き出されながら、吹き飛び

[メイン] 窓付き : 路地裏の壁にぶち当たり、だらりと転がる。

[メイン] 窓付き : 本当なら、これで"目覚める"はずだった。

[メイン] 窓付き : どんなに痛い目にあっても、夢だから
だからこそ、醒めることができるはず。

[メイン] 窓付き : なのに─────。

[メイン] 窓付き : 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。

[メイン] 窓付き : 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

[メイン] 窓付き : ─────夢じゃないくらい、痛い。

[メイン] 窓付き : "熱"の中、そうして窓付きは─────。

[メイン] 窓付き : 軋む体を動かす気力も無く、意識を……失う。

[メイン] 甘粕正彦 : 「人と向き合いたいのなら、夢を見つめてどうするよ、そんな物は醒めるに限──」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……しまったな、少々加減を間違えた」

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕は、何も殴るのが好きなわけではない
それしかないと思うからやるのだが……

[メイン] 甘粕正彦 : 見ての通りのやりすぎに、流石に頭が冷えたのだろう

[メイン] 甘粕正彦 : 「このまま放置するのも、約束が違うか」

[メイン] 甘粕正彦 : そのまま窓付きを肩に担ぐと、大きく跳躍して路地裏から、ビルの屋上へと辿り着き…

[メイン] 甘粕正彦 : 「……窓付き、だったか」

[メイン] 甘粕正彦 : 「願わくば、次に目覚めた時、お前が人である事を……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「輝きを放つのだと、信じさせてもらおう」

[メイン] 甘粕正彦 : そう思わせるだけの価値が、あの一撃にはあったのだ

[メイン] 甘粕正彦 : 楽しそうに笑いながら、甘粕は跳躍を続け闇夜へと消えていった

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 : ビル群を飛び越しながら向かった先は、この時代における医療施設…

[メイン] 甘粕正彦 : その廃墟

[メイン] 甘粕正彦 : 「道具がある事など期待してはいないが……まあ、雰囲気作りという奴だ」

[メイン] 甘粕正彦 : そして、手元に華美な装飾が施された盃を取り出すと……中身を窓付きへと振りかける

[メイン] 甘粕正彦 : 水に当たった箇所から浸透し、瞬きの間もなく傷を癒す、甘粕が取り出した盃は……

[メイン] 甘粕正彦 : 何処の伝承にも出てくる“聖杯”と謳われる品
されど、これは最初からこの世にあったのではない

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕が、夢から取り出した物

[メイン] 甘粕正彦 : 「……叡智を得られる道具か、少し探ればあるやもしれぬが」

[メイン] 甘粕正彦 : 「惹かれぬな」

[メイン] 甘粕正彦 : 己の目指す物は“ぱらいそ”のみ
楽園に行く手立てなど、己の手で掴まなくしてどうするか

[メイン] 窓付き : 「……ん………」
窓付きの傷は、見る見るうちに癒えていき、意識がゆっくりと戻っていく。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、起きたか」

[メイン] 窓付き : ………?

[メイン] 窓付き : 「……え? ……!?」

[メイン] 窓付き : 「ど、どうしておじさんが……!?え……!?ここは……!?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「廃墟だよ、気絶させた貴様をここで手当てしたわけだ」

[メイン] 窓付き : 辺りをキョロキョロと見渡しながら、動揺が隠し切れない。
あそこで自分は、痛みの中……ここが、『夢』ではないということを知りつつも。
あの時、『死』が目前にあった、ということもまた理解しており。

[メイン] 窓付き : 「………」

[メイン] 窓付き : 分からない……一体、どうして……。

[メイン] 甘粕正彦 : 「今は、しっかりと醒めているようだな」

[メイン] 窓付き : 「………『現実』、なんだね」

[メイン] 窓付き : 甘粕の目を、じっと見ながら。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、『夢』ではない」

[メイン] キャロル : ……カツン、と靴音を鳴らして

[メイン] キャロル : 医療施設の廃墟にと侵入しようと

[メイン] 甘粕正彦 : 「……おや」

[メイン] 窓付き : ……そう、私は……夢の世界ではなく
現実世界で……他者と殺そうとした……。

[メイン] 窓付き : 「………!」

[メイン] 窓付き : その音に気が付き、やってきた少女の方を向く。

[メイン] 窓付き : 「……おじさんの、知り合い?」

[メイン] 窓付き : 目線はキャロルのまま、甘粕へ問う。

[メイン] 甘粕正彦 : 「さあな、俺の方に見覚えはないが…」

[メイン] キャロル : 休める手合いを探す為にも一度あの男から別れたのはいいものを

[メイン] 窓付き : やってきた少女にも窓付きは……何かしら、他者とは違う……
"何か"を感じざるを得なかった。

[メイン] キャロル : ……チッ

[メイン] キャロル : 先客がいたか

[メイン] 窓付き : 同い年か、それよりも幼い少女。
だというのに……。

[メイン] キャロル : 男と少女の方を見て

[メイン] 窓付き : 「……迷子にしては、堂々としてるね」

[メイン] 窓付き : そう言い、ゆっくりと立ち上がり。

[メイン] 甘粕正彦 : 「……よもや、窓付きよりも幼い者までもが戦いに出向いているとはな」

[メイン] 窓付き : ……痛みは、もう無い……。
………ここで感じた、違和感のようなものは……。

[メイン] 窓付き : 「………ああ、やっぱり?」

[メイン] キャロル : 「道具について知っている、と思っていたが……どうやらその様子だと見込みはずれのようだな」

[メイン] 窓付き : 「この子"も"?」

[メイン] キャロル : …幼いか
そう勘違いするのなら好都合だが───

[メイン] 甘粕正彦 : 「恐らくはな」

[メイン] 窓付き : 正解だ。
この子も、"道具"を探している。

[メイン] 窓付き : 「………その通りだよ、私はまた、"道具"の在処は知らない ……隣に立ってるおじさんも、きっとそう」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ」

[メイン] 窓付き : 「それを聞くっていうことは、あなたも……つまりは知らない」

[メイン] 窓付き : そう言い、一歩ずつ近づき。

[メイン] キャロル : ……コイツ、鋭いな

[メイン] 窓付き : 「……幼い女の子だとしても、突き詰めれば……私達は、『敵』同士 ……そうだよね?」

[メイン] キャロル : オレがまだ知らないことを知った
オレの不手際もあるが、この発言だけで読み取るとは──

[メイン] キャロル : 「……そうだ、と言ったらどうする?」

[メイン] 窓付き : 「それならこうす───── ………あれ」

[メイン] キャロル : その発言の一つ一つは、とても幼い少女のそれでもなく

[メイン] 窓付き : ★ほうちょう★が
無い。

[メイン] 窓付き : ちらりと、甘粕の方を見る。

[メイン] 甘粕正彦 : 「……ああ、そういえば」

[メイン] キャロル : 窓付きの方を見て

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前の包丁だが、途中で抜けて何処かへ落ちた」

[メイン] 甘粕正彦 : 「すまんな」

[メイン] 窓付き : 「え………」

[メイン] 窓付き : ……………。

[メイン] キャロル : 「……ほう、得物がないのか?」
と笑みを浮かべる

[メイン] 窓付き : ……これは、困ったかも。

[メイン] 窓付き : 「……」

[メイン] 窓付き : 「……でも、そういうあなたも、でしょ?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「まあ、許せ。詫びの品も考えてはいる」

[メイン] 窓付き : 見た限り……武装の様子は特に見えない。

[メイン] 窓付き : 「………?……何でおじさん、謝ってるの?」

[メイン] キャロル : 「……さて、どうかな」

[メイン] 窓付き : 「私達、『敵』同士……なんだよ? ていうか……!さっきの質問にも答えてないし……!」

[メイン] キャロル : 撃て、ここで撃て
そうすればまずは1人やれるだろう?

[メイン] キャロル : そう思いつつも、未だに行動には移さず

[メイン] 甘粕正彦 : 「さっきの質問……嗚呼、何者か、という話だったな」

[メイン] 窓付き : 「違うよ どうして『敵』である私を助けるような真似を……!」

[メイン] キャロル : ただ、目の前の男が邪魔だ

[メイン] 窓付き : 「それに、この子だってそうでしょ?おじさんの『敵』だよ?」

[メイン] 窓付き : そう言い、キャロルの方も一瞥し。

[メイン] キャロル : ……オレ達以外にも手を組んでいる奴がいるのか?

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前が、人間として放つ輝きを、俺が期待しているからだ、そちらの少女もな」

[メイン] 窓付き : 「………輝き…… ……そんなの、だから……!"道具"を見つければ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「そんな物で、一体何が得られるのだ?」

[メイン] 窓付き : 「人の心が得られる!!……そうすれば、私は……!」

[メイン] キャロル : 「…………は?」
と、少し呆気に取られた様な声を出し

[メイン] 甘粕正彦 : 「知れば得られる、と?」

[メイン] 窓付き : 強く頷く。

[メイン] キャロル : 「オレの欠けているモノが手に入る…オレはそれを求めなければならない。それが今オレがここに立つ至上命題」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ふむ……」

[メイン] 窓付き : 「………」

[メイン] 甘粕正彦 : 童女と少女の前で腕を組みながら、甘粕は少々ため息を付き…

[メイン] キャロル : そう オレの願いは
少なくとも今、目の前にいる少女と何ら変わらないかもしれない

[メイン] 窓付き : この子が求めているものもまた………私と、同じ……?

[メイン] 甘粕正彦 : 「叡智を手に入れた所で、知ることができるだけなのでは無いか?」
「得る方法は、自分で為さねばならぬ筈だが」

[メイン] 窓付き : ……だからこそ、でしょ
だからこそ……競争相手なんだから……
"邪魔"なんだから……どかさないといけないのに……!

[メイン] 甘粕正彦 : 「……それを知ったところで今のお前達にはできるのか?」

[メイン] 窓付き : 「っ………!」

[メイン] キャロル : 「知る事に 意味がある」

[メイン] 窓付き : 「……できない、そう思ってるの?おじさん」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、両者共に」

[メイン] 窓付き : ギリッ、と歯を食いしばる。

[メイン] 甘粕正彦 : 「さて、少女よ。ではその得た知識で何をする?」

[メイン] キャロル : 「記憶の整合性を計り オレに欠けている体験を取り戻す」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……では、聞こう」

[メイン] 窓付き : ちらりと、キャロルの方へ向き
その話へ耳を傾ける。

[メイン] キャロル : 「………」

[メイン] 甘粕正彦 : 「その記憶が、お前だけの物で無い場合」
「体験が存在せず、記憶だけであった場合はどうするつもりだ?」

[メイン] キャロル : 「さあ その時は……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「その時は?」

[メイン] キャロル : 「何故産まれてきたかを悩みながら…己の記憶にある命題だけを果たそうか」

[メイン] キャロル : 満足の行く 体験が無ければ

[メイン] キャロル : 繰り返せばいい 同じ事を

[メイン] 甘粕正彦 : 「……ふむ」

[メイン] 窓付き : ………ああ、やっぱり
この子は……他の子とは、違う。

[メイン] 甘粕正彦 : その言葉に偽りの色はない

[メイン] キャロル : 無数の叡智が手に入ったのなら

[メイン] 甘粕正彦 : 少なくとも甘粕は、そう確信した

[メイン] 窓付き : 決意が、そこに立っているように見える。
多分……今後、どうなっても、この子は、折れない。
立ち向かい続ける、命題に……。

[メイン] キャロル : 万象黙示録の再現も
あの時の事変も

[メイン] キャロル : ───それでも尚自身を止めようとする奴を、見つけ出せる
体験が得られなければ追体験すればいいんだ

[メイン] 窓付き : 「………それならやっぱり、私達は『敵』同士、それ以上でも、それ以下でもない」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……ふむ」

[メイン] 窓付き : 「夢を見て、願いを叶えるって……そういうことなんでしょ?」

[メイン] 窓付き : 「誰かを傷つけても叶えたいものがある、だからみんな、ここにいる」

[メイン] 窓付き : 「……輝きとかは、知らないけど………少なくとも私は……孤独は……嫌だから」

[メイン] キャロル : 「そうだ」

[メイン] 窓付き : 「だから、戦う」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……なるほど」

[メイン] キャロル : 「……戦ってでも、孤独を得たとしても欲しい真実が俺にはある!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「では、お前達二人は手を組んでも問題が無いようだな」

[メイン] 窓付き : 「…………」

[メイン] 甘粕正彦 : あっけらかんと甘粕は言葉を投げた

[メイン] 窓付き : 「?」

[メイン] キャロル : 「は?」

[メイン] 窓付き : 「え?……え?? ……それって、どういう、こと……?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「窓付きが知りたいことは一つ、要するに人と仲良くする方法」

[メイン] 窓付き : こくりと、頷く。

[メイン] 甘粕正彦 : 「キャロルが求める物はこの世の全ての知識」

[メイン] キャロル : 理解が追いつかない 
何を言っているんだこの男は!?

[メイン] 甘粕正彦 : 「…キャロルが得た後、教えを乞えばいい話ではないか」

[メイン] 窓付き : 「………………………」

[メイン] 窓付き : 「…………なる、ほど……?」

[メイン] 窓付き : ちらりと、キャロルの方を横目で見る。

[メイン] キャロル : 「は…はぁ!?」

[メイン] 窓付き : 「………」

[メイン] 窓付き : 「でもおじさん」

[メイン] 窓付き : 「この子……戦えるの? ……多分、戦えるんだろうけど、でも……」

[メイン] 窓付き : 「手を、組むほど?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、そこは問題ない」

[メイン] キャロル : 「知って教えてもらって解決するものなのか!?」
と、答えつつも

[メイン] 甘粕正彦 : 「成せばなる」

[メイン] 窓付き : 「え」

[メイン] 甘粕正彦 : 「諦めなければ、夢は必ず叶う物だ、誰でもな」

[メイン] キャロル : 意味が いや 意味は理解できる

[メイン] キャロル : 本気で言ってるのか? この男

[メイン] 窓付き : いや……いや……?
……いや……!!
だって私……この子のこと、まだ分からないのに……??
手を、組む………?
そ、そもそも私……人とコミュニケーション取ることが、難しいから……。
………できるの……?

[メイン] キャロル : 冗談じゃない!
オレはやれる…少なくとも既に協力者もいる!

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕正彦の声は励ますような色は含んでいるが、同時に言葉に一切の嘘はないと示しきっている

[メイン] 窓付き : 「………ほ、本気で、そう言ってるんだ……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「まあ、待てキャロルよ。お前にも悪い話を持ちかけているわけではない」

[メイン] キャロル : こんな奴とコミュニケーションだと!?
いや…確かに『理解』に必要な事ではあるのかもしれないが!

[メイン] 窓付き : ……これが……人の心、ということ……なの……?

[メイン] キャロル : 「……何だ?」

[メイン] 窓付き : 口をへの字にしながら、キャロルの方をちらりと見て。

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前の体験を埋める為、それには何が必要か考えられているか?」
「例えば……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「油断ならぬ仲間に気を払うあまり、謀略に思考が押しつぶされているとか……」

[メイン] キャロル : ………ッ!!!

[メイン] キャロル : コイツ オレの心でも読めているのか…?

[メイン] キャロル : いや 有り得ない
オレが謀略に押し潰されるなど 有り得ない

[メイン] 窓付き : ……この子の、表情が変わった……?

[メイン] 甘粕正彦 : 「だが、窓付きが相手であるならその心配はない」

[メイン] キャロル : 体験を埋める為 なにが 必要か

[メイン] 甘粕正彦 : 「この者は夢の中で生きてきた分、現実的な謀略などは疎い……つまり、頭を使いすぎる必要がないわけだ」

[メイン] 窓付き : ……おじさんの言葉で……。
それはきっと、この子の周りで今起きている出来事を言い当てていて……。

[メイン] キャロル : そんなものを 考えて オレは 

[メイン] 甘粕正彦 : 痛みを避ける必要がないなら、必然楽をする為の卑怯な手など縁遠くなる

[メイン] キャロル : ………いや、でも

[メイン] 窓付き : 「……そ、それって……私、馬鹿にされてない……?」
目を細め、甘粕をじっと睨みつつも。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ハッハッハ」

[メイン] キャロル : この街に来る時のタクシーの思い出の方が…楽しいし…

[メイン] キャロル : いや、ありえない あり得てはならない
オレは…オレは……!

[メイン] 窓付き : 「………」

[メイン] 窓付き : 金髪の、私よりも背の低い少女の
ころころと変わる表情を見ながら、思う。

[メイン] 窓付き : ……この子は、確かに私と同じものを探している、けれども……。

[メイン] 窓付き : 私には無いものを、既にこの子は、持っている。

[メイン] キャロル : そこを否定したら
オレがこの世界にいる意味がなくなる…

[メイン] 窓付き : ……深くは分からない、だから………。

[メイン] 窓付き : 「……ねぇ」

[メイン] 窓付き : キャロルに、問う。

[メイン] キャロル : 結果のために全ての過程を犠牲にしてきた
お前はそうだっただろう…オレは…そうしないといけないんだ……!

[メイン] 甘粕正彦 : まだ、覚醒には至らないか、胸の歌とやらが俺にもあれば、話も……ん?

[メイン] 窓付き : 「あなたにとって……『思い出』って……何?」

[メイン] 窓付き : 人の心を知りたい、その答えがもし……。

[メイン] 窓付き : この子が、持っているのだとしたら─────。

[メイン] キャロル : 「………『思い出』か…」

[メイン] 窓付き : こくりと、頷く。

[メイン] 窓付き : その強い意志は、私とは違う。

[メイン] 窓付き : 人の心を欲する動機が、違う。

[メイン] 窓付き : 私は、無いから、欲しい。

[メイン] 窓付き : でもこの子は、失われた物だから、欲しい。
つまり……既に、持っていた。

[メイン] キャロル : 「泣いたり 笑ったり 怒ったり 驚いたり 誰かに守られたり 守ったり 復讐したり されたり 誰かと 1人でも 何かを感じて 後に繋ぐ」

[メイン] キャロル : 「祝福であり 呪いだろうな」

[メイン] 窓付き : …………!!

[メイン] 窓付き : 「………そ……っか……」

[メイン] 窓付き : 祝福であって、呪い、か……そっか……
たくさん……知ってるんだ。

[メイン] 甘粕正彦 : 「言い当て妙ではある、裏表があるからこそ現世の物であるのだからな」

[メイン] 窓付き : ………今、分かった……
…………この子は、私よりも強いんだ。

[メイン] 窓付き : 私は……人の心とは何か……

[メイン] 窓付き : 泣いたり……笑ったり……怒ったり……驚いたり……
誰かに守られたり……守ったり……復讐したり……されたり……
誰かと1人でも何かを感じて後に繋ぐ、何かを、知りたいから、だから─────。

[メイン] 窓付き : 「…………えっと……その」

[メイン] 窓付き : 頬を掻きながら、キャロルの方を見て。

[メイン] 窓付き : 「………さっきは、変なこと言っちゃったかもしれないし……」

[メイン] 窓付き : 「ここからも、"傷つける"ようなこと、言っちゃうかもだから……先に、謝るね」

[メイン] 窓付き : 「……ごめんね」

[メイン] 窓付き : 「………それと、もう一つ、なんだけど…… ………もし、良かったら、だけど」

[メイン] キャロル : 「……なんだ」

[メイン] 窓付き : 「私は、知りたいから、人の心を、どうしても……だから」

[メイン] 窓付き : 「………あなたなら、きっと知ってると思うから」

[メイン] キャロル : その返答には、先ほどの淡々とした雰囲気よりも
どこか揚々としたような

[メイン] 窓付き : 「……教えてくれると、ありがたいかな……って」

[メイン] 窓付き : つまりは─────共闘の、申し出。

[メイン] キャロル : 「……」

[メイン] 窓付き : ……えっと、えっと……。

[メイン] 窓付き : こう……かな……。
……わからないや……。

[メイン] 窓付き : 窓付きは、頭を下げる。

[メイン] 窓付き : 深く、キャロルへ、誠意を見せようと。

[メイン] キャロル : 「先約がいる。そちらと組んだ方がオレにとっても勝率は────」
と、言い切る前に頭を下げるのを見て

[メイン] キャロル : ………はぁ
どうしてこうも こういう輩は出てくるのか
記憶の中のオレは どう思うのか わからないが

[メイン] キャロル : 「頭を上げろ」

[メイン] 窓付き : 「……!」

[メイン] 窓付き : 言われた通り、顔を上げ、そうしてキャロルの方へを見て。

[メイン] キャロル : 「オレには先約が既にいる そいつと共闘する事にもなっている」

[メイン] キャロル : 「だが…まあ」

[メイン] キャロル : オレの記憶にいる 泣いてばかりの奴は
こんな時でも 手を差し伸べていたから

[メイン] キャロル : 多分 それが経験を形作る事になるのかもしれないのだから

[メイン] キャロル : 「フン……勘違いしないでもらいたいがオレの願いを成就させる為のコマに過ぎないからな!貴様は!」

[メイン] キャロル : と、手を差し伸べた

[メイン] 窓付き : 「! ……コマ、コマかぁ……うん、それでも─────」

[メイン] 窓付き : 「─────ありがとう」

[メイン] 窓付き : その手を握り、握手。

[メイン] キャロル : 「……礼など不要!」
などと言い、少しだけ握手した後すぐに手を離す

[メイン] 窓付き : 人の心は、まだまだ分からない。
………でも。

[メイン] 窓付き : 「あ ……ふふ」

[メイン] 窓付き : 何故だか、笑いが、零れた。

[メイン] 甘粕正彦 : 「……クク」

[メイン] 窓付き : ……これが、嬉しい……っていう、感情……なの?

[メイン] 甘粕正彦 : 「いやはや、やはり話を進めて正解だったか……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「この調子なら……ここから先は、俺がついて回る必要もあるまいて」

[メイン] 窓付き : 「…………」

[メイン] キャロル : 「それにオレは強いからな お前1人増えたところでどうとでも──何?」

[メイン] 窓付き : 「……おじさんは、どこへ行くの」

[メイン] 甘粕正彦 : 「何、そもそも俺は、ここへは人の輝きを確かめにきた」

[メイン] 甘粕正彦 : 「争いの火があれば、そこへ向かうだけだよ」

[メイン] 窓付き : 「………」

[メイン] 窓付き : 「……そっか」

[メイン] キャロル : 「見たいものは見れた、と」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、期待できる若人たちも見つけられた」

[メイン] 窓付き : きっと……おじさんの求めるものは、"ここ"じゃなく
"そこ"にあるんだ。

[メイン] 窓付き : 「………分かったよ」

[メイン] 窓付き : 「……気を付けてね、それと………」

[メイン] 窓付き : 「─────ありがとう」

[メイン] 甘粕正彦 : 三日月のような笑顔を浮かべ、答えると

[メイン] 甘粕正彦 : 「土産だ、お前が強くなる為の鍵になろうる物を託しておこう」

[メイン] 窓付き : 「? お土産?」
小首を傾げ。

[メイン] 甘粕正彦 : 手を窓付きに向けて翳すと、周囲に4つの品が次々と現れる

[メイン] 甘粕正彦 : “杖”

[メイン] 甘粕正彦 : “金貨”

[メイン] 甘粕正彦 : ”剣“

[メイン] 甘粕正彦 : “盃”

[メイン] キャロル : 「小アルカナの4種…」

[メイン] 甘粕正彦 : 小アルカナになぞった夢へ繋がる力
それは窓付きの周囲を旋回する

[メイン] キャロル : そして

[メイン] 窓付き : 「!……これは……!?」

[メイン] キャロル :
"レイア"
硬貨

[メイン] キャロル :
"ファラ"

[メイン] キャロル :
"ガリィ"

[メイン] キャロル :
"ミカ"

[メイン] キャロル : …ああ、そうか

[メイン] キャロル : 本当に コイツは

[メイン] キャロル : 頬を 一筋の水が通って

[メイン] キャロル : お前達は どこまでいても
……ありがとうな

[メイン] 窓付き : 「─────すごい……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺の持つ、人類の集合無意識へと繋がる力」

[メイン] 甘粕正彦 : 「そこから、分割した物だ。お前はこれから、俺が与えた品の範疇にあるなら……」

[メイン] 窓付き : 人は夢を見る、そしてやがては……醒める。

[メイン] 窓付き : "邯鄲の夢"。

[メイン] 甘粕正彦 : 「人類が描いた”夢“」

[メイン] 甘粕正彦 : 「それを使用できる」
無論、リスクが無いわけではないのだが

[メイン] 窓付き : 「……」
こくりと、頷き。

[メイン] 窓付き : 「……ありがとう、おじさん」

[メイン] 窓付き : 「……私は……その"夢"を、背負うよ」

[メイン] 甘粕正彦 : 「なに、お前の世話を頼む礼を兼ねている」

[メイン] 甘粕正彦 : キャロルを少し見たあと、甘粕は二人に背を向ける

[メイン] 窓付き : そうして窓付きは、周囲に浮かぶ小アルカナへ手を添え─────。

[メイン]   :  

[メイン]   : ★きずな★

[メイン]   :  

[メイン] 窓付き : ─────掴む。

[メイン] 甘粕正彦 : 「ではな、お前達が輝きを取り戻す日を、俺は待っているぞ」

[メイン] 窓付き : 「うん」

[メイン] 窓付き : 「絶対手にするよ、私の……私達の、輝きを」

[メイン] キャロル : 感傷に浸りつつも

[メイン] キャロル : ……人形達が人類の集合無意識として数えられているのも、自分が数に含まれていたのも
…多分 これが

[メイン] キャロル : ……絆とやらなんだろうな
昔、自分のようで自分ではない誰かが切り捨てようとしていて…必要だった想いを

[メイン] 窓付き : 「─────窓付き」

[メイン] 窓付き : 「それが、私の名前だよ」

[メイン] 窓付き : キャロルに、そう語りかける。

[メイン] 窓付き : 「……掴もうね─────眩しいくらいの、"思い出"を」

[メイン] キャロル : 「……オレは、キャロル・マールス・ディーンハイム」

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 「『思い出の"探求者"だ!』」

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] ゼシルウェンシー : 「……いやあ、俺に”取り憑かれ”てもここまで自我を保つとは驚きですよ」

[メイン] ゼシルウェンシー : 今の自分に口はない。
精神に直接語り掛ける。
”同居者”相手に。

[メイン] ゲーチス : 「フッ フッフッフッ …… ……
 1000 と 500 と …… ……
 ワタクシ は 例外も 例外 …… と いったところですか」

[メイン] ゲーチス : 『融合』
その結果として この男
ゼシルウェンシー の 能力を
そして どれだけの 人間 が 犠牲 になったかを知る

[メイン] ゲーチス : 「しかし 当然です」

[メイン] ゲーチス : 「言ったでしょう ワタクシ は 負けるはず が ないのですよ
 無限の勝利 それによって 齎される支配 そして世界を
 この目で しかと見られなければ いや この手で 訪れさせなければ
 意味がない」

[メイン] ゲーチス : 今まで 動かす事さえかなわなかった右腕を
虚空へともたげ そしてその手を 巨大な月へと翳す

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ひひひ……世界に勝つ!!これ以上の勝利はありませんですねえ!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ま、それはそうと」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ちょっと慣れない体の使い方なもんで。俺にとっちゃあ、ちぃっと動かし辛いんですが……」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「丁度よく試せる相手、知りませんですかねえ?」

[メイン] ゼシルウェンシー : 記憶の共有はゼシルにも起こっている。
それは、当然、直近に起きた……屈辱的な出来事に関してだろうが。

[メイン] ゼシルウェンシー : 三つ首の竜、金髪の少女、そして焦燥に満ちた感情。
その記憶ですらも。

[メイン] ゲーチス : 「フ …… フハハハ …… !!!
 負け とは 所詮は 勝ちへの 軌跡でしょう
 死なない限り は …… …… とはいえ どこのだれともわからぬ娘に
 つまらぬ 負け方 を した」

左腕に持つ杖らしき物の先端が 石畳を抉ると同時

[メイン] ゲーチス : 月に翳した右手の指
人差し指と中指を立てたまま 閉じる
平和 の ピース などではない
───勝利 の Vサイン

[メイン] ゲーチス : 「もうすでに おわかりでしょう
 "二つ" ちょうど良い相手がいる」

[メイン] ゲーチス : 翳していた右手を引き戻し。

[メイン] ゲーチス : その眼に立てられた二本の指を見せつける。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「きひひっ」

[メイン] ゼシルウェンシー : ゲーチスの右手を少し”借り”。

[メイン] ゼシルウェンシー : 一本、そして一本。

[メイン] ゼシルウェンシー : 指を、折った。

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] キャロル :

[メイン] キャロル : 一方で、そんな奇跡が起きているとは露とも知らず

[メイン] キャロル : 少女は刻一刻と三頭の龍を連れ歩き街を散策している

[メイン] キャロル : 無論、無作為に散策しているわけではない
今回では万が一手に入れた時に戦いが起きた事を考慮しての布石

[メイン] キャロル : それを淡々とこなしつつ、同時に一般市民が少なくともこのエリアからは消えつつある事に安堵していた

[メイン] キャロル : ─────故に

[メイン] キャロル : 遠くの未来、そして自分では無い誰かを気にかけていたが故に

[メイン] キャロル : 近くの悪意、自身に向けられたそれが接近する現実に"一手"遅れた

[メイン]   :  

[メイン]   : その時
キャロル そしてサザンドラの 目の前に
突如として 現れたら

[メイン]   : 少なくとも 視界の範囲で
町並み を 呑み込む

[メイン]   : 『濁流』

[メイン] サザンドラ : 「───!!?」

[メイン] キャロル : 「……飛べ!!」

[メイン] サザンドラ : 六枚の翼が限界まで広がると
飛翔───その際 両腕の頭部でキャロルをくわえて
共に そらをとぼう と───

[メイン] キャロル : 咄嗟の命令が出せたのは、このような事態に慣れていたか、それとも──
兎に角、この濁流の効果範囲外から逃そうと…

[メイン] ガマゲロゲ : その時 濁流に紛れ
爛れた 手腕を振るう 何かが飛び出し

[メイン] ガマゲロゲ : サザンドラに向かい
その『どくしゅ』を振るおうとする

[メイン] キャロル : ────チィっ!

[メイン] サザンドラ : 「グア───!」

[メイン] サザンドラ : ───もののみごとに直撃

[メイン] キャロル : 咥えられてていた少女もまた、大きく揺れて

[メイン] ガマゲロゲ : それと同時 サザンドラから『生命エネルギー』が拳を伝い吸収され
まるで蚊が血を吸い取った代わりに 毒を残すかのように
サザンドラの体を─── 『どく』に侵す

[メイン] サザンドラ : 「ガアアァァッ…………!!!!!!」

[メイン] キャロル : その目で確かにその一撃を分析する

[メイン] キャロル : アレは恐らく『毒』

[メイン] キャロル : 長期戦は圧倒的に不利
いや、それよりも

[メイン] キャロル : 放置していれば確実に死ぬ!

[メイン] ガマゲロゲ : その気だるげにも思えるが
裏を返せば 何かに余計な気を取られない 虚無さえも意味する瞳が
思慮を巡らせるキャロルの方へと向かおうと───

[メイン] キャロル : 歯軋りを少しだけして

[メイン] キャロル : 「迎撃のドラゴンダイブだ!」

[メイン] キャロル : と、その場凌ぎの命令を下す

[メイン] キャロル : 重要なのはそこではない
思考時間を一瞬稼げた

[メイン] サザンドラ : 「───!!!」
キャロルを一瞬
一瞬だけ離し 攻撃に巻き込む事は避けると
それは一瞬の出来事だった

[メイン] キャロル : ─────アイツがまだ干渉しようとしている

それと同時に、この場からはすでに撤退するべきだ─────

[メイン] サザンドラ : サザンドラ の 体躯 が
まるで風に俟った紙のように舞うと
ガマゲロゲに向かい───牙の如き たいあたり を

[メイン] ガマゲロゲ : 「!!!」

直撃───
後方へと吹き飛び

[メイン] キャロル : 二つの思考を同時に、並行して行い

[メイン] ガマゲロゲ :
 それといれちがうように

[メイン] :
 そらをかけぬける ひとすじ
 

[メイン] : 『辻切り』

[メイン] キャロル :
入れ違った存在に眼を見開いて


[メイン] ゲーチス? : その男 キャロルには策士として映っていたであろう男

[メイン] キャロル : サザンドラが切られたと 判断しすぐに

[メイン] サザンドラ : ドラゴンダイブ が めいちゅう し
体勢を整えようと

した瞬間

───その存在が目に入る まったく 無防備
ターンが向こうへと渡ったような瞬間 に

[メイン] サザンドラ : 「ガァアアアアアア───!!!!!!」

[メイン] サザンドラ : すでに

きられていた。

[メイン] ゲーチス? : その肉体がまるで 手練れの暗殺者の如く駆けた

[メイン] キャロル : 「……貴様」

[メイン] キャロル : あくまで 冷静に

[メイン] キャロル : 「誰だ?」

[メイン] キャロル : そう この男は

[メイン] キャロル : 今まで手を組んでいた(反吐が出るが) やつとは明らかに 違う

[メイン] ゲーチス? : ……こんなものですかね 中々深く切り込めない
まあ…… 手負いには 十分か

[メイン] ゲーチス? : 一人ごち 問いかけに 向き合う

[メイン] ゲーチス? : 「おやおや 見知った顔だと 思っていましたですが」

[メイン] ゲーチス? : 「バレるもの ですねえ」

[メイン] キャロル : 「ほざけ 貴様にそこまでの身体能力はないだろう そうでなければあの場で撤退など選ばん」

[メイン] ゲーチス? : 「ひひっ」

[メイン] キャロル : ……1VS2

[メイン] キャロル : 今回、オレを勘定しなければ

[メイン] ゲーチス? : そう この男
今この肉体を駆る者 その名は

[メイン] キャロル : 0VS2

[メイン] キャロル : いや

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ゼシルウェンシー お初にお目にかかります」

[メイン] キャロル : 0VS3か……

[メイン] ゼシルウェンシー : 「…… ……今後ともヨロシク!」

[メイン] キャロル : 「……なるほど、な」

[メイン] サザンドラ : その自己紹介を終えたであろう瞬間

サザンドラはその身を つばめがえし の如く翻し
「どく」に侵され ダメージを受けた直後であろうにも関わらず

[メイン] キャロル : 自分と同じ ホムンクルスのような
いや 恐らくはそこまで高度なものでもないか

[メイン] サザンドラ : キャロルの下へともぐりこみ
キャロルが落下し、石畳へ衝突する事だけは防ごうとする

[メイン] キャロル : ────!

[メイン] キャロル : 思考に耽っていた為か、僅かに判断が遅れて

[メイン] ゼシルウェンシー : 「おやおや 身を挺してまで 良い顔になった ものです」
様子の違うサザンドラを見て

[メイン] キャロル : 「手づから凌いでよく分かった」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「そう 道具のように 忠実に仕えている…… くくくっ」

[メイン] キャロル : その表情には、悔しさや怒りなどを込めつつも

[メイン] キャロル : 「帰投しろ」

[メイン] キャロル : ……彼我戦力はこちらが圧倒的に不利

[メイン] ゼシルウェンシー : 「いやいや 逃げられちゃ 困りますですよ」

[メイン] キャロル : オレが"想い出"を燃やすのであれば話は別だろうが

[メイン] キャロル : 少なくとも

[メイン] キャロル : 毒を持った状態のこいつに戦わせるような真似は出来ない…!

[メイン] サザンドラ : 「───!!!」

体力は 皮肉にもゲーチスの手で全快していたが
疲労と 今の不意による二連続のダメージ 毒に加え そして衝撃の吸収によって
サザンドラ は キャロルの見る目に違わず すでに黄色信号となっている

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ちゃんと 俺の 経験値に なってくれなくちゃね」

[メイン] ゼシルウェンシー : 万全なら分からないが 毒で弱った相手なら 丁度いい

[メイン] ゼシルウェンシー : 再びの一撃を加えようと 俊敏に 駆けだす

[メイン] キャロル : 「悪いが 経験値にさせるつもりは そもそも、そんな数値にするつもりは」

[メイン] キャロル : 「毛頭無い!」

[メイン] キャロル : 「サザンドラ!」

[メイン] キャロル : 「この道一帯に『いわなだれ』だ!」

[メイン] キャロル : 通路を防ぐことができるならベスト

[メイン] キャロル : そうでなくとも、時間を稼げるのであればベター

[メイン] サザンドラ : 「───!!! グォオオオオオオッッッ───!!!!」

サザンドラは元来───凶暴な性質
その力は 己の破壊の為に振るわれるもの

が 皮肉にもゲーチスの教育と そしてキャロルとの間に芽生えた絆からか

[メイン] サザンドラ : 虚空を引き裂き
突如として いわなだれ が

[メイン] サザンドラ : 道を塞ぐ為に 降り注ぐッ!

[メイン] キャロル : ─────これと 次の策

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ギャハハ お前を育てたのは 誰だと 思っているですか」

[メイン] ゼシルウェンシー : 虚空が歪む それを見るなり 跳躍

[メイン] ゼシルウェンシー : 跳び 岩を蹴り 蹴り 蹴り蹴り蹴り

[メイン] ゼシルウェンシー : 『アクロバット』

[メイン] ゼシルウェンシー : 宙を飛ぶように 岩石の隙間を すり抜けていく

[メイン] ゼシルウェンシー : 落ちてくる岩の”癖” それは全部 記憶にある

[メイン] キャロル : その動きは 確実に"癖"を把握しているそれ

[メイン] キャロル : 「成る程…貴様は記憶の複写も可能か!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ひひひ こんなんじゃ 止まりませんですよ!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「まあ ”一番強いの” なら わかりませんですけど ね!」

[メイン] ゼシルウェンシー : ──”やつあたり”

[メイン] ゼシルウェンシー : 二つの記憶にある サザンドラ最強の攻撃

[メイン] キャロル : 乗るな それは"ちょうはつ"だ─────

[メイン] キャロル : 過去の記憶や今の 思い出を否定してはならない

[メイン] サザンドラ : 「───!!!」

いわなだれ を むしろ足場にこちらへと接近するゲーチス
否…… あの吹き飛ばしたはずの男…… その"ちょうはつ"

それに

[メイン] サザンドラ :  

[メイン] サザンドラ : 乗ってしまう

[メイン] サザンドラ : 「グァァァァァァッッッッ!!!!!」

いや それはきっと

[メイン] サザンドラ : "ちょうはつ"に乗ったのではない

[メイン] サザンドラ : キャロルのやさしさに応えるために

その「魂までくれてやろう」
「武器になろう」「盾になろう」

[メイン] サザンドラ : その思いが
サザンドラを直進させてしまった

[メイン] サザンドラ : ───やつあた

[メイン] サザンドラ :  

[メイン] サザンドラ : その時 ゼシルウェンシーのアクロバットを

偶然にも躱す

[メイン] サザンドラ : 答えは簡単だ

[メイン] サザンドラ : ドクン と 一際激しい鼓動に 身を苦しめられたからだ

「どく」

[メイン] サザンドラ : その「どく」が サザンドラの生命エネルギーを赤信号へと切り替えたのだ

[メイン] ゼシルウェンシー : 「おっと」

[メイン] キャロル : ─────

[メイン] ゼシルウェンシー : 躱された

[メイン] ゼシルウェンシー : いや 偶然か

[メイン] キャロル : 次策は撃てない

[メイン] ゼシルウェンシー : 「これじゃ 俺の手に かけるまでも ないかもしれませんね!」

[メイン] キャロル : ならば

[メイン] ゼシルウェンシー : 「助けを求めて 絶唱でも してみますか?
 ひひひ ひ!」

[メイン] キャロル : 目の前がまっくらになる"かもしれない"リスクか 文字通りの全滅か

[メイン] キャロル : ……そうだ
それを使えば 確実に勝てる
これは確信だ

[メイン] キャロル : だが────

[メイン] キャロル : "使ってはならない"
それは 少なくとも 奴らへの趣返しにはならない

[メイン] ゼシルウェンシー : 「さあ 勝利だ 勝利が見えるぞ」

[メイン] キャロル : だから 少女の導き出した"本能"は至極単純なものだった

[メイン] キャロル : 「サザンドラ」

[メイン] ゼシルウェンシー : 相手は どうやら手札と 手持ちを 出し惜しんでいる

[メイン] ゼシルウェンシー : 俺が負ける わけがない!!!

[メイン] キャロル : 手札はな

[メイン] キャロル : 命は 出し惜しみしない

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 「オレに向かってドラゴンダイブだ」

[メイン] キャロル :

[メイン] キャロル :  

[メイン] ゼシルウェンシー : 「…… ……!?」

[メイン] サザンドラ : 「───」

サザンドラの下した判断
それは 優しさにふれた"はんどう"によるキャロルへの絶対的な信頼からか
あるいはそうではないか 定かではない

[メイン] ゼシルウェンシー : 血迷いやがった いや 違う

[メイン] サザンドラ : だが 見ての通り
ゼシルウェンシーが 驚愕した通りだろう

[メイン] ゼシルウェンシー : この目 まだ希望が 残っている!!

[メイン] サザンドラ : サザンドラは

キャロルのその目を見て

[メイン] キャロル : その通りに 目には一筋の希望を浮かばせて

[メイン] ゼシルウェンシー : 止めねば まずい
だが ”驚愕” してしまった
一瞬の テンポロス

[メイン] サザンドラ : 身を翻せば

その"一音"に懸けるように

[メイン] サザンドラ :  

[メイン] サザンドラ : 『ドラゴンダイブ』

[メイン] サザンドラ :  

[メイン] キャロル : 止まっては ならない
オレを "信頼"しろ
その一瞬が 勝負を分ける

[メイン] サザンドラ : 直進───
その身を回転させながら

[メイン] サザンドラ :  

[メイン] サザンドラ : "とっしん"するッ!!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 止まって しまった
相手の判断に"不信"を抱いた
その一瞬が 勝負を分ける

[メイン] キャロル : 直撃 ダメージ 暗転

[メイン] キャロル : 目の前が一瞬まっくらになったが

[メイン] キャロル : その華奢な腕は 手は
しっかりとサザンドラを掴んで

[メイン] キャロル : 吐血しつつも

[メイン] キャロル : 笑みを浮かべ

[メイン] キャロル : 「──ナイス、だ……これなら病院のお世話になる事も無い……な!」

[メイン] キャロル : サザンドラを掴みつつ

[メイン] サザンドラ : キャロルの浮かべた笑みの残響
          ターン
その温もりは次の『調和』への種火

そうサザンドラも信じ───

[メイン] キャロル : 超高速の風圧 重力
それらを受けても

[メイン] キャロル : サザンドラの意志を
        シンフォニー
その情熱は次の『協奏曲』への布石

己もまた自身を信じ───

[メイン] ゼシルウェンシー : 勝利が 目の前から 逃げていく …… ……!

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ぐっ…… ……!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 既に 追いつけない距離まで 離されてしまった

[メイン] ゼシルウェンシー : うまく にげきられた……!

[メイン] ゼシルウェンシー : 手元の杖を 地面に叩き付ける

[メイン] ゼシルウェンシー : この俺がしてやられた……?
あり得ない ですねえ…… ……!

[メイン] ゼシルウェンシー : 敗北も勝利の礎と謡っていたはずの男 それが顔を歪めていた

[メイン] ゲーチス : ───その時
男にこの体の主導権を 握らせていた
本来の持ち主が その歪みがスイッチとなり 呼び起される

[メイン] ゲーチス : 「まさか あの娘も
 バケモノだとは…… サザンドラとの絆とやらも
 所詮は あの力の一端 でしょう
 暴力を暴力でねじ伏せた そうに違いない」

[メイン] ゲーチス : 男は そう言いつつも
そうだと 信じなければ
支配者としての何かが失われる と 思っていた

[メイン] ゼシルウェンシー : 語りかけてくるその声に、同意して

[メイン] ゼシルウェンシー : 「所詮あのサザンドラも、道具としての本分からは抜け出せません。
 感情や思い出なんかで繋がれる、そういう生き方じゃ無いんですよ」

[メイン] ゲーチス : 「フ…… 良い方に捉えるなら
 解と出来ない煩わしい感情をあの娘にも サザンドラにも ねじ込んだ
 あの"二体" にとっての勝利は濁ったも同然」

[メイン] ゲーチス : 「しかし ワタクシたちは違う」

[メイン] ゲーチス : 「無限の勝利の為
 決して 何かに濁される事はない
 ほだされる事も」

[メイン] ゲーチス : 濁流の跡を踏み鳴らしながら
そう男は 呟いた

[メイン] ゼシルウェンシー : 「完全な支配の為。
 決して何かに堕落はしない。
 ……くくくっ」

[メイン] ゼシルウェンシー : 竜が落ちた跡を踏み鳴らしながら
そう男は、呟いた

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] ゼシルウェンシー :

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 「─────あれは……!?」
その激戦を目にする、1人の少女と、1人の戦士。

[メイン] クロコダイン : 「この気配は…」

[メイン] 窓付き : クロコダインに頷き。

[メイン] 窓付き : 「あの……クロコダインさん!!」

[メイン] 窓付き : そう言い、遠くを指差し。

[メイン] 窓付き : 険しい表情で。

[メイン] 窓付き : 「─────キャロルが…………」

[メイン] 窓付き : そう言いかけ、首を振り。

[メイン] 窓付き : 「……私の、『友達』が………!!」

[メイン] クロコダイン : 「お前の協力者…だったか」

[メイン] 窓付き : 素早く、強く、頷く。

[メイン] クロコダイン : 「ああ、行くぞ」

[メイン] 窓付き : どうしてか分からない、でも私は─────。
焦りと、そして……

[メイン] 窓付き : 怒りが。

[メイン] 窓付き : 「……はい……!!」

[メイン] 窓付き : 短い交流だったとは言え─────あの子は、私を認めてくれた。

[メイン] 窓付き : ……そんな子を……あんな目に遭わせる、だなんて……。

[メイン] 窓付き : 許せない。
……そういう気持ちが、渇いた地から源水が溢れ出てくるように。

[メイン] 窓付き : そうして、ずっと奥、視線の先へ─────。

    プラズマ
─────"戦火"へ。

[メイン] ゲーチス :  

[メイン] ゲーチス : 聴力の上昇
そして神経の増設
脳への伝達速度の向上によって

[メイン] ゲーチス : こちらへと向かってくるあらたな"二体"を
即座に捉える

[メイン] 窓付き : 駆け出す。筋肉を、心臓を、肺を、全て駆動させ─────。

[メイン] 窓付き : そして少女の周囲に浮かぶ、4つの武種。

[メイン] ゼシルウェンシー : おっと 見知った顔もある……ふふふ
気を付けてくださいね、クロコダインとかいうあの男。”堅い”ですよ
内心で伝達

[メイン] 窓付き : "杖" "金貨" "剣" "盃"
─────小アルカナ。

[メイン] クロコダイン : (見たことのない男だが…感じた事のある気配だ)

[メイン] ゲーチス : ほお……

[メイン] ゲーチス : こいつが獣王

[メイン] ゲーチス : そして……
あの娘は 何だ?

[メイン] 窓付き : 「ハァッ……!!ハァッ……!!!」
険しい表情で、懸命にゲーチスの前に立ち。
キャロルが向かった先に、立ち塞がるように立つ。

[メイン] ゲーチス : 特にストーリーや目的もない
ただ 歩き回っているだけにも見える 貧相な小娘

[メイン] 窓付き : 「……これ以上先は……行かせない!!」

[メイン] クロコダイン : 「……まずは落ち着け」

[メイン] 窓付き : 「……!!……う……で、でも……!」

[メイン] クロコダイン : 「オレの勘が正しければ、こいつはそういう隙に漬け込むのが得意だ」

[メイン] クロコダイン : 「倒したいのなら尚更平静を保て」

[メイン] 窓付き : 「………それなら……どうすれば……!?」

[メイン] 窓付き : 「……!……平静……」

[メイン] 窓付き : 視線はゲーチスの方のまま、こくりと頷き。

[メイン] ゲーチス : その会話は 聴力の上昇によって やはり聴こえる
そして抑えきれぬ衝動からの

欠けの見られない 三日月のように笑みを引き

[メイン] クロコダイン : 「何、難しく考えるな」

[メイン] クロコダイン : 「負けたくないのなら、勝ちたいのならそうするべきという話だ」

[メイン] 窓付き : 「……………!……わかり、ました……」

[メイン] 窓付き : そうして、深呼吸を一つ置き。

[メイン] 窓付き : 一歩、前へ出るように。

[メイン] ゼシルウェンシー : おや、やる気ですね

[メイン] 窓付き : 「……あなたは……"叡智"を欲する人……そう、ですよね……?」

[メイン] ゲーチス : あの 眼差し
かつては目先の勝利に狂ったはずだ
だというのに いやはや…… 少女の背中を押しますか

[メイン] ゲーチス : 「ええ ワタクシによる 無限の勝利
 そしてそれに伴う 支配の為に
 叡智は頂きますよ 尤も ついでに ですがね」

[メイン] ゲーチス : あらゆる叡智の結晶すら もはや過程に過ぎない

[メイン] 窓付き : 「………それを諦めるという選択肢は無い……ということ、ですね……?」

[メイン] 窓付き : そうして、小アルカナの内の一つを掴み取る。
"剣"。
そしてそれが変形していき─────。

[メイン] ゲーチス : 無限の勝利
それこそが追い求める結果
ゲーチスという男は ゼシルウェンシーとその人格を共有する事で

更に その狂気を磨いた

[メイン]   : ★ほうちょう★

[メイン] 窓付き : 一番、私が手にしてきた武器で
一番、私が人を傷つけてきた武器で

[メイン] 窓付き : ……守るんだ。

[メイン] 窓付き : 必死に逃げて行った、キャロルとサザンドラの姿が再び脳裏に浮かぶ。

[メイン] 窓付き : 私は─────やっぱり、"怒り"という感情が、胸に込み上げていた。

[メイン] ゲーチス : 「おやおや "暗闇の世界" に堕しますか
 その包丁を か弱そうなあなたが握り
 ワタクシに 向けると?」

[メイン] 窓付き : 頷く。

[メイン] ゲーチス : 怒りの感情が垣間見える
フハハハ……アハハハハハハッッ!!!
濁っている 実に濁っている! 怒りのついでにワタクシたちに勝つと!?

[メイン] ゲーチス : そんな事があるはずがない!!!

[メイン] 窓付き : 「……確かに私は、弱いかもしれない……この行為は、暗闇そのものかもしれない……でも」

[メイン] 窓付き : ゲーチスを、キッと睨みつけ。

[メイン] ゲーチス : 「ほお 向かってきますか
 いいでしょう しかしその暗闇が晴れた途端
 あなたの目に映るは 何もかもが逆さまの光景でしょうね」

[メイン] 窓付き : 「─────もう……!!"夢"に逃げたくないから!!!」

[メイン] 窓付き : 無限の苦悩
そうしてが追い求めた結果
窓付きという少女は 甘粕、キャロル、クロコダインと出会ったことによって

更に その心が光り輝いた

[メイン] ゲーチス : 「もう"夢"には戻れませんよ 小娘
 無限の勝利の前に たった一度の敗北を喫し
 そして凍える世界で 『でんとう』も無く ひたすら彷徨うがいい」

[メイン] ゲーチス : ふっ こんな小娘を「太陽」として見ているのか 獣王よ
生きとし生ける者にはすべて太陽が必要だが なんとか細い光だ

[メイン] 窓付き : 「それでいい……私は、もう……"起きた"から」

[メイン] 窓付き : 「……ごめんなさい、クロコダインさん ……私の我儘につき合わせちゃって……」

[メイン] クロコダイン : 「ふっ、かまわんさ。お前にしてもらった事を思えば、これぐらいはどうという事はない」

[メイン] 窓付き : その答えに、窓付きは無意識に頬が緩み。

[メイン] 窓付き : 「……ありがとうございます」

[メイン] クロコダイン : 「オレが役に立てる事と言えば、戦い(これ)ぐらいでもあるしな」

[メイン] クロコダイン : 「気持ちは十分だな。さあ後は目の前の敵に集中しろ」

[メイン] クロコダイン : 「平静さを欠くなよ。そこを漬け込まれれば不利になるからな」

[メイン] 窓付き : 「─────はい!!」

[メイン] クロコダイン : 「…………行くぞ!!!」

[メイン] ゲーチス : 「苦に思って もう頬をつねっても
 二度と醒めない世界に誘ってやりますよ───」

[メイン] ゼシルウェンシー : (夢みたいな理想を見ている子どもに苦い真実って奴を教えてやりましょうか)

[メイン] 窓付き : 火蓋が切って落とされるように─────。
一気に、ゲーチスとの距離を詰める。

[メイン] クロコダイン : 「さあてどうかな?」
ゲーチスの言葉に返すように

[メイン] クロコダイン : 「こいつは向き合った上で変わっていった奴だ。お前の思うようには行かんぞ」

[メイン] ゲーチス : 「そんな手のひらにすら簡単に収まりそうな太陽なぞ
 ワタクシの世界には必要ない 確実に命諸共奪い去ってやりますよ

 ───獣王 目先の勝利だけではない
 ワタクシには 無限の勝利の道が遠方まで続いているのですよ!」

[メイン] ガマゲロゲ :  

[メイン] ガマゲロゲ : その時
濁流と共に 「毒手」を持った蛙が

[メイン] ガマゲロゲ : 窓付きにその勢いのまま 襲い掛かるッ!

[メイン] 窓付き : 来た……!!

[メイン] クロコダイン : (こいつは……魔物か……!?)

[メイン] ゲーチス : ───ドレインパンチ…………!

[メイン] クロコダイン : とっさに窓付きの前に出て。

[メイン] クロコダイン : その拳を受け止める。

[メイン] 窓付き : "夢"の中であった、色んなモンスターよりも……!!ずっと……!!
攻撃が早─────。

[メイン] 窓付き : 「!!! クロコダインさん!!!」

[メイン] ゲーチス : これは ゼシルウェンシーの見た通り
存外に 迅速 ……!!!

[メイン] クロコダイン : (体格の割りに威力はそうでもないな……しかしなんだこの感触は………!?)

[メイン] クロコダイン : 「ぐっ………」

[メイン] ガマゲロゲ : その瞬間

[メイン] ガマゲロゲ : その拳を伝い
クロコダインの生命エネルギーを『吸収』するッ!

[メイン] クロコダイン : (異質……そうか……!!)

[メイン] 窓付き : 「!!!」
一体、何が……!?

[メイン] クロコダイン : 「初手で受け止めたのは正解だったな……!!」

[メイン] クロコダイン : 「その性質!!見切った!!!」

[メイン] ガマゲロゲ : 「───!!!」

[メイン] ガマゲロゲ : その気だるげな目が その性質を見切られた事を理解したのか
目を皿のように見開いたッ!

[メイン] クロコダイン : (そうだな……ここは……!!)

[メイン] クロコダイン : 威力そのものは大きくないのが幸いし、怯むことなくそのまま反撃に出る。

[メイン] クロコダイン : 巨大な斧を一振りし、

[メイン] クロコダイン : ガマゲロゲを切りつける。

[メイン] 窓付き : ……!!そうか、この内に……!!

[メイン] クロコダイン : 「いいや待て!!」

[メイン] 窓付き : 「っ……!!?」

[メイン] ガマゲロゲ : その斧の一振りを受け止めきれず
───その攻撃が直撃

[メイン] ガマゲロゲ : その時

[メイン] ゲーチス : ガマゲロゲの腹部から
おそらくその背中から貫通した

[メイン] 窓付き : 咄嗟に動こうとするも、足が止まり。

[メイン] ゲーチス : 『杖』が

[メイン] ゲーチス : クロコダインを狙う

[メイン] 窓付き : 「………!?」

[メイン] ゲーチス : 「『切り裂く』

 ですよ」

[メイン] クロコダイン : 「なっ……」

[メイン] 窓付き : な、何……こ、れ……!?

[メイン] クロコダイン : 「ぐっ……ぐぉぉぉ………!!」

[メイン] 窓付き : どう、して……!?!?

[メイン] 窓付き : 「ク、クロコダインさんッッ……!!!」

[メイン] クロコダイン : 杖がクロコダインの腹に突き刺さる。

[メイン] ゲーチス : 「たった一度の攻撃で ガマゲロゲに反撃するとは
 驚きます ですよ?
 フハハハ! お見事ですよ……」

[メイン] ゲーチス : 「ですが想定が甘かったですね
 誇りに捉われる! それがあなたの弱みッ!」

[メイン] 窓付き : そんな、どうして……!?
だって、このモンスターは……あの人の、味方……なんだよ、ね……?

[メイン] ゼシルウェンシー : 正々堂々──
戦いにおける『正』とは勝利
『堂』と立っていられるのは勝者
これが俺たちの『正々堂々』!!!

[メイン] ゲーチス : 「だからこの攻撃も 想定できなかった!
 いえ…… したくはなかった でしょう」

[メイン] 窓付き : 分からない、どうして、こんなことを……!?

[メイン] クロコダイン : 「部下を使い捨てるような真似を……下衆が……!!」

[メイン] 窓付き : 「この子は……あなた達にとって……"邪魔"な存在じゃなかったはず……!!なのにどうして……!!?」

[メイン] ゲーチス : 「人間が優しい生き物だと思っているのですか?
 "バケモノ"よ 人間のように叫ぶとは情けない」

[メイン] 窓付き : 窓付きは、叫んでいた。冷静でいろ、と言われてもなお……。
どうしても、抗えない。……怒りが。

[メイン] ゲーチス : 「化け物なら化け物らしく 笑ってみればいいのです

 よ───!!!!!!」

[メイン] ゲーチス : そのまま杖を引き抜くと同時に
ガマゲロゲごとクロコダインを蹴り飛ばそうとするッ!

[メイン] クロコダイン : 「クッ……!!」

[メイン] クロコダイン : そのゲーチス相手にヒートブレスをとっさに吹き掛ける

[メイン] ゲーチス : 「ッ! グッ───」
コートに炎が燃え移り 広がっていく
だがもはや この偽りの無数の目なぞ燃やしたところでどうにもならないのですよ!

[メイン] ゲーチス : そのまま ガマゲロゲの濁流の跡を利用し
火を消し止める

[メイン] ゲーチス : 「こんな事もあろうかと
 濁流を使わせて 正解でしたよ ップハハハハハ!!!!」

[メイン] クロコダイン : (隙は作った……!!)

[メイン] クロコダイン : 「ぐっ……うおおおおおお!!!」

[メイン] クロコダイン : その隙にガマゲロゲを投げ飛ばす。

[メイン] 窓付き : そ、そんな……!?さっきの炎が……!!
……!!!

[メイン] クロコダイン : 「この外道の相手はオレがする!!いいな!!!」

[メイン] クロコダイン : 「窓付き!!お前はそいつをどうにかしろ!!!」

[メイン] 窓付き : 「っ………!!………はい……!!!」

[メイン] ガマゲロゲ : 窓付きの前に投げられ
ピクピクと その気だるげだった目がぼんやりと霞んでいくガマゲロゲが
窓付きの方を見る

[メイン] 窓付き : ガマゲロゲの、使い捨てられた者の瞳をじっと見て─────。

[メイン] 窓付き : 包丁で突き刺さんとする手が……止まる。

[メイン] 窓付き : 「っ………!!」
……どう、して……!!任された、のに……!!

[メイン] ゲーチス : 「ほお 目先の勝利でなく
 目先の情に絆されましたか! これが獣王の姿!?
 おやおや? あなたは素質がある………!!!」

[メイン] ゲーチス : 「敗北者としての! 素質が!」

[メイン] 窓付き : ……この子を……傷つける………のが……嫌……?……怖い……?

[メイン] クロコダイン : そのままゲーチスに迫り。

[メイン] クロコダイン : 斧を振りかざす。

[メイン] クロコダイン : 「ふんっ……!!!!」

[メイン] ゲーチス : 「フッ───」

ゼシルウェンシーよ アナタの力を ワタクシは侮らないッ!

[メイン] ゲーチス : そのまま あえて
半身を浅くだが 斬りつけられるッ!

[メイン] ゲーチス : しかしそれでも その杖を振るう手は止まらないッ!

[メイン] ガマゲロゲ : 「…………」
3カウントもすれば ガマゲロゲは直接手を下さずとも
そのまま永久の眠りへと落ちるだろう

[メイン] クロコダイン : (手応えが薄いっ……!!)

[メイン] 窓付き : 「………!!」
その様子を見て、窓付きは─────。

[メイン] ゲーチス : 「香りましたよ───
 勝利の匂いッッッ!!!!!!」

[メイン] 窓付き : 自身の周囲に浮かぶ、"盃"を手に取り─────。
そして、その形状を、変える。

[メイン] ゲーチス : 杖を乱打し
獣王の肉体に直接叩き込み続けるッ!

[メイン] クロコダイン : 「グッ……グォォォオ……!!!」

[メイン] 窓付き : ★きずぐすり★

[メイン] クロコダイン : (この体格の老体からは信じられん動きだ……!!)

[メイン] 窓付き : そして、それをガマゲロゲへ、即座に投与を行なう。
止めろと言われた、本当ならここで……このまま放っておいたって、構わないはず
でも─────。

[メイン] クロコダイン : (だが………)

[メイン] 窓付き : ……できなかった。
見捨てられし者へ、追撃するような真似は……したくない……!

[メイン] 窓付き : 涙を浮かばせながら、怒りの表情を露わにしながら
ガマゲロゲへの介抱を始める。

[メイン] クロコダイン : 「獣王を……舐めるなァァァァ!!!!」
連撃をも無理矢理押して、再び迫り、斧を振りかざす

[メイン] ガマゲロゲ : 「… … … …」
その時 わずかなきずぐすりではあるが
空に浮かぶ雄大な月の如き 少女の優しい介抱
この体に伝わる手は 自身をじっと見つめている事と同義であった

ゲーチスとは違い

[メイン] ゲーチス : 「ッッッ!!!? この力は───!!!!」

その一瞬で匂っていた勝利の匂いが消し飛び
突如として臭う 敗北の臭い

[メイン] 窓付き : 「……大丈夫……私は……あなたの敵でも、邪魔者でも、ないよ……」
優しく、ガマゲロゲへ諭すように。

[メイン] 窓付き : ……この行為が、正しいのかどうか……分からない。
やっぱり、分からない、でも……。

[メイン] 窓付き : いつも、いつでも上手く行く保証なんて、どこにも無いから。
だからこそ……私は……信じたものを、信じたいから
─────"本気"で、生きてみたいから。

[メイン] ゲーチス : 杖が不意に折られる
この杖はある計画の為の試作品だった
が この乱打で破壊され───つまらぬことで潰える未来が垣間見えた気がした

つまらぬ つまらぬ敗北
つまらぬ挫折 それをワタクシが味わう!? 二度も!? いや三度?
これを味わい続ければ いつまでつまらぬことが ありえぬことが続くのだ!

[メイン] ゲーチス : 武器は 今この時失われた
だが この男にはもう一つ 武器があった
それは『ゲーチス』としての武器ではない

[メイン] ゲーチス : 最後に残された その武器は

[メイン] ゲーチス :  

[メイン]   : ★ただのナイフ★

[メイン]   :  

[メイン] : その刃物。武器。凶器。そのまたの名を──

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ゼシルウェンシー。
 またお会い しましたですね」

[メイン] ゼシルウェンシー : ゲーチスの口から 発せられる 少し違う声音

[メイン] クロコダイン : 「また……?貴様やはり………!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 斧と鍔ぜり合ったのは 杖になく ナイフ

[メイン] ゼシルウェンシー : 「一度負けたら 勝たなきゃ 気が済まないもんで」

[メイン] クロコダイン : 「なるほどな……だがこれでお前の能力は見えた……!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「それは こっちも 同じことです!」

[メイン] クロコダイン : 「利用されあうだけの関係か………!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「お前だって そこの小娘に 利用されてるだけじゃ ねーですか!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「だって そうでしょう?
 お前には 何一つ 利益が無い!」

[メイン] クロコダイン : 「借りがあるのでな!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : そういいながら後ろに大きく 跳ぶ

[メイン] ゼシルウェンシー : ガマゲロゲと窓付きから 結果的に 大きく離れる

[メイン] クロコダイン : 「逃がすか!!!」
大きな歩幅で、飛んでいった影との距離を縮めに行く。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ひひひ いいんですか お姫様を これじゃ助けに行けませんよ」

[メイン] クロコダイン : 「かまわんさ!!!あいつならどうにかできると!!!」

[メイン] クロコダイン : 「そう思ったから任せた!!それだけだ!!!」

[メイン] クロコダイン : 距離を詰めて再び斧を振りかざし

[メイン] ゼシルウェンシー : 「圧倒的な膂力。既に 見せてもらいました ですよ。
 だが それゆえに
 どうしても 大振りに なってしまう」

[メイン] ゼシルウェンシー : ナイフを 懐から 取り出し

[メイン] ゼシルウェンシー : 投擲の 構え
狙うのは クロコダイン

[メイン] ゼシルウェンシー : ではなく

[メイン] クロコダイン : 「なっ……!!?」

[メイン] ゼシルウェンシー : 窓付きと ガマゲロゲ

[メイン] ゼシルウェンシー : 「このまま俺に 斧を 振り切ってみますか?
 クククク!」

[メイン] クロコダイン : とっさに斧をブーメランのように投げつけ

[メイン] クロコダイン : ナイフを彼女たちの元に届く前に弾き落とす。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「そう!
 大振りな一撃を 修正するには やはり大振りしかない!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「いただき ですよ!」

[メイン] クロコダイン : (隙を晒した………!!)

[メイン] ゼシルウェンシー : 弾かれたナイフを 横目に突進

[メイン] ゼシルウェンシー : すれ違いざまの 一閃

[メイン] ゼシルウェンシー : 『辻切り』

[メイン] クロコダイン : 「ぐっ……」

[メイン] クロコダイン : 「ぐわああああああああ」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「武人肌
 気に食わない 言葉ですよねえ
 だって そんなもののために 弱くなる」

[メイン] クロコダイン : (身体が違う、技も違う、以前の攻撃とは比べ物にならん威力だ……!!!)

[メイン] ゼシルウェンシー : 「そんなの『武』じゃない」

[メイン] クロコダイン : 「弱くなる……だと?」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「だって そうでしょう?」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「今 アナタが斬られたのは
 情に絆された そのためだ」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「そうでなければ 俺に 斧を突き立てられた だろうに」

[メイン] クロコダイン : 「ふっ…ふはははははははっ」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ほう この状況で まだ笑いますか」

[メイン] クロコダイン : 「いいことを教えてやる」

[メイン] クロコダイン : 「以前お前と戦った時と今、そこにおけるオレの違いはたった一つ!!強さへの執着でしかない!!」

[メイン] クロコダイン : 「オレはこの情を軽んじる生き方をしたことはない!!こうする以外の生き方も知らないのでな!!!」

[メイン] クロコダイン : 「とんだ検討違いだと笑ってやったのだ!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ひひひ それでは 俺に勝って 証明してみたらどうですか
 そんな重荷を背負って 俺に勝てるかどうか」

[メイン] クロコダイン : 「一度その重荷を背負った存在に!!貴様は負けたのだ!!!」

[メイン] クロコダイン : 「今回もそうしてみせるまでだ!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「負けなど 勝ちへの スパイスです!!
 ”ひん死”じゃ 済まない "死に" を与えて あげましょう!
 アナタの大冒険も ここで お終いです!!」

[メイン] クロコダイン : 「やってみせろ!!!」

[メイン] クロコダイン : とっさに息を吸い込み

[メイン] ゼシルウェンシー : ふむ まったく揺らがない
この男 やはり 覚悟が違う

[メイン] クロコダイン : ヒートブレスを浴びせかける。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ほう」

[メイン] ゼシルウェンシー : 冷静な一手 だ

[メイン] ゼシルウェンシー : 横に走る
クロコダインの周りを 回るように

[メイン] クロコダイン : (あの時と違って今度は避けるか……!!)

[メイン] クロコダイン : (代わりの身体は無いと見ていいか………!!)

[メイン] ゼシルウェンシー : フフフ この体は少し 燃やされると 困りますのでね

[メイン] ゼシルウェンシー : そして何より 今回は 有利な条件がある

[メイン] クロコダイン : (あるいはこれ以上に優れた身体はないか……!!)

[メイン] ゼシルウェンシー : 相手が火の息を 吐きつけられない相手

[メイン] ゼシルウェンシー : それを 背後に回せば この男はもう 巻き込むことを恐れて ブレスを使えなくなるだろう

[メイン] クロコダイン : (………!?この方向……しまった………!!)

[メイン] クロコダイン : 咄嗟にブレスを止め

[メイン] ゼシルウェンシー : 「フハハ…… ……
 これが弱さと 言っているのです」

[メイン] クロコダイン : 走って距離を詰めに行く

[メイン] ゼシルウェンシー : 「武器も ないのに よくもやる!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 迎え撃つ
今なら 間違いなく こちらの 有利!!

[メイン] クロコダイン : 「武器なら拳(これ)があれば十分だ!!」

[メイン] クロコダイン : そのまま大きく振りかぶり、殴りかかる。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ふふふ やはり 迫力満点!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 素早くステップを踏み 拳の内側に潜り込まんと 機動

[メイン] ゼシルウェンシー : 『アクロバット』

[メイン] クロコダイン : 「なっ………!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「速度では 俺が有利」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「そうでしたね?」

[メイン] クロコダイン : (しまっ………)

[メイン] クロコダイン : アクロバットの直撃を受ける

[メイン] ゼシルウェンシー : 素早い肉弾の 連撃
目の前の男とて 不死身ではあるまい

[メイン] ゼシルウェンシー : 体力の底が見えないのは 不気味ですが

[メイン] クロコダイン : 「ぐおあああああああ」

[メイン] クロコダイン : 「ぐっ…………」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「やはり 勝てる!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「助けも救いも ここには ないのだから!」

[メイン] クロコダイン : (中距離遠距離の攻撃は迂闊に使えん……こちらから攻め込めば優位を取られる……しかし相手の出方を待てばそれこそどうなるかが分からん……)

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ふふふ
 手が 止まっていますですよ」

[メイン] クロコダイン : (くっ……悩んでる暇はない……!!)

[メイン] クロコダイン : 「まだまだぁ!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : ゼシルウェンシーとて 迂闊には攻め込めない
この熟練の戦士相手に 不用意な動きは 敗北に直結する

[メイン] クロコダイン : そのまま真っ正面から突っ込んでいく。

[メイン] ゼシルウェンシー : ゆえに焦りを誘う──『ちょうはつ』である

[メイン] ゼシルウェンシー : ここは──

[メイン] クロコダイン : しかしただ突っ込んでいく訳ではなく、拳の向ける先を咄嗟に変え、

[メイン] クロコダイン : 豪腕のまま、ゼシルの立つ地面を砕く。

[メイン] ゼシルウェンシー : 「なに!?」

[メイン] ゼシルウェンシー : 『ちょうはつ』のまま 攻撃してくると 思っていたが──

[メイン] クロコダイン : 「ぐぉぉぉぉお!!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー :
 搦め手
『変化技』──!
 

[メイン] クロコダイン : 足場が崩れ、生まれた隙を逃さず

[メイン] クロコダイン : 今度は殴打をゼシル本人に向けて放つ。

[メイン] ゼシルウェンシー : 崩れた足場に 囚われないよう 飛んだ体は

[メイン] ゼシルウェンシー : その一撃を 避けられない!

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ぎひひひっ!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 殴打をまともに受け 高く 空中へ突き飛ばされる

[メイン] クロコダイン : (手応えはありだ………!!!!!)

[メイン] ゼシルウェンシー : 「意表は突かれました が…… ……!
 幸いにも 空中!
 衝撃は 受け流せる!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 「そんな小細工 無意味だ!!」

[メイン] クロコダイン : 「なっ……!!?」

[メイン] ゼシルウェンシー : 高笑いと ともに 空中を吹き飛ばされていく
そう 格闘で 飛行した俺を殴るなど

[メイン] ゼシルウェンシー : さあ 着地すれば 反撃だ
手の内は どんどん読めるぞ

[メイン] クロコダイン : (元より二度目はない程度の策ではあったが……この程度でしかないとは………!!)

[メイン]   :  

[メイン]   : ポツリ

[メイン]   : ポツリ ポツリ

[メイン]   : その時 この町全体に降り注ぎ始める
雨粒────それは次第に

[メイン] クロコダイン : (糸口だけは掴めた。あの身体でもまともにオレの攻撃をくらえば一溜まりもない事。しかし当てる手段はない……!!)

[メイン] クロコダイン : (……雨?)

[メイン]   : ザァアアアアアアアアアア…………と
爆音の如き
視覚的聴覚的"ノイズ"となりて降り注いだ

[メイン] ゼシルウェンシー : なに……!?

[メイン] クロコダイン : (急な雨……これを逃す手はない……!!)

[メイン] ガマゲロゲ : その時
何かを背負う影が 雨の中を駆け巡る

[メイン] ガマゲロゲ : おそらく ゼシルウェンシーにも クロコダインにも
その駆け巡る影が何なのか そしてその軌跡すら追えるだろう

[メイン] ガマゲロゲ : 背負っている少女の事も はっきりと見えるはずだ

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 「─────いけ!ガマゲロゲ!!」

[メイン] クロコダイン : (こ、こいつらは……!?)

[メイン] 窓付き :  

[メイン] ゼシルウェンシー : アレは……

  俺
ゲーチスのガマゲロゲ!
しかし 背中に乗っているのは…!?

[メイン] ゼシルウェンシー : 雨天の中 水音を響かせて着地

[メイン] ゼシルウェンシー : 「…… ……」

[メイン] 窓付き : そうだ─────私は……!!!見捨てられない……!!
この子だってそうだし……!!クロコダインさんのことも!!
これは、クロコダインさんのことを信頼してないわけじゃない─────!!

[メイン] 窓付き : 信じたいものを、信じてるからこそ……!!!

[メイン] ガマゲロゲ : まだ 捉えられる
その蝦蟇の動きは ゼシルウェンシーなら確実に
たとえ雨というノイズに阻まれようとも

[メイン] ゼシルウェンシー : 寿命をすり減らした 神経伝達速度の たまものですね

[メイン] ゼシルウェンシー : 冷静に ガマゲロゲの動きを見る

[メイン] ゼシルウェンシー : こんなもの 助けにも救いにも なるものか

[メイン] ゲーチス : 馬鹿な………
あれは『すいすい』……
とくせいカプセルを安価で量産した際の実験も兼ねて消したはず

まあいいでしょう まだ捉えられますよ
ゼシルウェンシー!

[メイン] ゼシルウェンシー : 分かってますですよ

[メイン] ガマゲロゲ : そして 捉えられたまま
ガマゲロゲは間違いなく そのゼシルウェンシーの間合いへと入り込む

[メイン] 窓付き : ガマゲロゲ……!!
─────お願い!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 「この程度の動き 寝ぼけてるんじゃ ねーですよ!」

[メイン] クロコダイン : 「お前たち………!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : その速度 利用してやる
手元にナイフを 添えて『辻切──

[メイン] ガマゲロゲ : ゲーチスは かつてのガマゲロゲのデータこそ 完全に理解しているはずだ
それをゼシルウェンシーと共有している
だが だからこそ

[メイン] ガマゲロゲ :  

[メイン] ガマゲロゲ : あまごいによって強化された
そして成長する事で得た

『ハイドロポンプ』によって更に加速し

[メイン] ガマゲロゲ : ゼシルウェンシーの間合いから一瞬で抜け出す事ができるどころか
翻弄さえも可能とした───!

[メイン] ゲーチス : 馬鹿な───あれは何だ?

[メイン] ゼシルウェンシー : 馬鹿な───あれは何だ?

[メイン] 窓付き : クロコダインに、強く頷き。
─────"決意"の表情を、見せる。

[メイン] 窓付き : 「これは……!!!私の我儘です……!!!!」

[メイン] 窓付き : 「私は……!!!私を変えてくれた誰かを見捨てることなんて……もう、できないから……!!!」

[メイン] 窓付き : 「クロコダインさんだってそうです……!!!」

[メイン] クロコダイン : 「お前って奴は………!!」

[メイン] 窓付き : 「例え死ぬことになっても……見捨てません!!!」

[メイン] 窓付き : 「臆病で……弱い、ただの人間かもしれませんが……!!!」

[メイン] 窓付き : 「一瞬でも……"閃光"のように……!!!まぶしく……!!燃えてみせます……!!!」

[メイン] 窓付き : そうして、ガマゲロゲの背後から飛び上がり─────。

[メイン] 窓付き : 自身の周囲に浮かぶ、4つの武種の一つ、"盃"を手に取り─────。

[メイン]   :  

[メイン]   : ★おに★

[メイン]   :  

[メイン]   : ぴかりと、"閃光"が空に。

[メイン]   : その後─────。

[メイン]   : ゲーチスへ向かって、一筋の、青白い光。

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   : ライデイン
"かみなり"

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] ゼシルウェンシー : ガマゲロゲへの迎撃を前提に 高く構えていたナイフ

[メイン] ゼシルウェンシー : 閃光が……!
吸い寄せられる……!

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ぐ ぐぉっ……!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : なぜ 俺だけに 雷が……
クロコダインとて 刃物は……!

[メイン] ゼシルウェンシー : いや──斧は 投げ捨てて いたか……!

[メイン] ゼシルウェンシー : 全身に 痺れ が ……!

[メイン] クロコダイン : (迎撃によって生まれた隙……!!感謝するぞ魔物よ、窓付きよ!!!)

[メイン] クロコダイン : 「………うおおおお!!!」

[メイン] クロコダイン : すかさず拳に力を込め

[メイン] ゼシルウェンシー : 「ぐ ふふ」

[メイン] ゼシルウェンシー : しかし 不敵に笑う

[メイン] クロコダイン : 眼光はまっすぐ敵を捉えて

[メイン] ゼシルウェンシー : 恐らくは獣王痛恨撃 それはもう 見た

[メイン] ゼシルウェンシー : この状態でも 防御は 不可能では……!

[メイン] クロコダイン : 構える。

[メイン] ゼシルウェンシー : 来い!!

[メイン] クロコダイン : 更に普段より大きくため、腕が肥大化させ

[メイン] クロコダイン : 「行くぞ!!!!!」

[メイン] クロコダイン : 「獣王!!!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : 痛恨──

[メイン] クロコダイン : 「─────」

[メイン] クロコダイン : 「────────」

[メイン] クロコダイン : 「─────会心撃ィィィ!!!!!」

[メイン] ゼシルウェンシー : !! ??

[メイン] ゼシルウェンシー : なん だと──!?

[メイン] クロコダイン : 肥大化した腕から、圧倒的な衝撃波が放たれ、敵へと向かう。

[メイン] クロコダイン : 全てを凪ぎ払うように直進し、敵の眼前へと迫り、

[メイン] クロコダイン : 直撃。

[メイン] ゲーチス : "見た" "データ" という

過去への拘り

それを捨てきれなかった

[メイン] ゲーチス : それが───

[メイン] ゼシルウェンシー : ──敗北を招いた

[メイン] ゼシルウェンシー : ……だがぁ!!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 俺に取っては負けじゃない

[メイン] ゼシルウェンシー : ゲーチス!!
アナタとも存ッ分に遊べましたですよ

[メイン] ゲーチス : ───待て
ゼシルウェンシー…………
もしかすると まだ やれるかもしれませんよ

[メイン] ゲーチス : その直撃をカラダに受けて尚

[メイン] ゲーチス : その『真実』を直視せず

[メイン] ゲーチス : もはや0%の『理想』がゲーチスの脳裏でだけ100%に輝いていた

[メイン] ゲーチス : アナタが まだワタクシと繋がっていれば

[メイン] ゲーチス : 耐えられるかもしれない

[メイン] ゲーチス : ギリギリ 持ち堪えられるかもしれない

[メイン] ゲーチス : ありえないのですから

[メイン] ゲーチス : ワタクシが 負ける事など

[メイン] ゲーチス : アナタの力を以てしても 負ける事など

[メイン] ゲーチス : ありえるはずが

ないのですから

[メイン] ゼシルウェンシー : いい加減……諦めろですよ!!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 俺は引き際は弁えてる
敗北だって勝利に繋げりゃいいんでね

[メイン] ゼシルウェンシー : そんじゃ、楽しかったですよ──

[メイン] ゲーチス : 引き際? ありえぬ
これが敗北と ありえるはずがない
これで負ければ 人間とバケモノの調和を認めることになる
そしてワタクシは 支配が叶わなくなるのですよ

[メイン] ゲーチス : いや

[メイン] ゲーチス : もはやゲーチスは

[メイン] ゲーチス : 正気ではなかった

[メイン] ゲーチス : そんな事を しかも攻撃が直撃している今この瞬間に
なおさら

[メイン] ゲーチス : 正気を保てるわけもないのだから

[メイン] ゲーチス : 「ありえぬ」

[メイン] ゲーチス : 「ありえるわけがないのです」

[メイン] ゲーチス : 「ありえない!」

[メイン] ゲーチス : 「離れるな! バケモノ!」

[メイン] ゲーチス : 人の言葉をしゃべられるバケモノ共同士
こうかはいまひとつ に相殺されるかもしれないでしょう!

[メイン] ゲーチス : 逃げるな!

[メイン] ゲーチス : 逃げるなぁ───!!!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 手を離せ!!
俺に触るな!!!

[メイン] ゲーチス : ゲーチスはその狂気で
勝利を妄信し この身に封じ込めようとする

[メイン] ゼシルウェンシー : 恩を仇で返しやがって
虫唾が走る

[メイン] ゼシルウェンシー : こ の…………!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 夢の世界になら一人で閉じこもってろ……!

[メイン] ゲーチス : ……モンスターボールが無くとも人とバケモノがわかりあえる事も認めない
ありえない ありえない ありえないありえないありえないありえぬありえぬありえないありえないありえないありえないありえぬありえぬありえない
ありえないありえないありえないありえぬありえぬありえないありえないありえないありえないありえぬありえぬありえないありえないありえないありえないありえぬありえぬありえないありえないありえないありえないありえぬありえぬありえない

[メイン] ゲーチス : 男は かつて 夢に閉じこもっていた少女のように

[メイン] ゲーチス : 同じ言葉ばかりを繰り返し 羅列にした

[メイン] ゼシルウェンシー : 俺は……勝利、だけを……!!

[メイン] ゼシルウェンシー : 男は かつて 目先の勝利に囚われた武人のように

[メイン] ゼシルウェンシー : 同じ一念ばかりを繰り返し 羅列にした

[メイン] クロコダイン :

[メイン] クロコダイン : 悶える一人の、否、二人の人間の前に立ち

[メイン] クロコダイン : 手に力を込め、

[メイン] クロコダイン : 止めをさすべく、腕から闘気を放ち

[メイン] クロコダイン : 目の前の醜い存在に引導を渡した。

[メイン] クロコダイン : 「………………」

[メイン] クロコダイン : 「……恐ろしいものだな…欲とは」

[メイン] クロコダイン : 「それにばかり目がくらみ、他者を利用するこばかりを考えた者の末路がこれか」

[メイン] クロコダイン : 「自らの力で強くなろうとする意思が一片でもあれば、そうすれば変われた可能性もあったのかもしれん、そう思えてならん」

[メイン] クロコダイン : 「オレとて巡り合わせが悪ければこうなってのかもしれん。どう歪んでいたか、自分でも想像できん」

[メイン] クロコダイン : 「ただそれだけは…………」

[メイン] クロコダイン : 「こいつらも憐れだったな………」

[メイン] クロコダイン : 「………………………」

[メイン] クロコダイン : 吹き飛ばした痕跡をもう一度確認し、

[メイン] クロコダイン : その場を立ち去り、歩き出した。

[メイン] クロコダイン :  

[メイン] クロコダイン :  

[メイン] クロコダイン :  

[メイン]   : "影"と"融合"せし"怪物"の"支配"物語は─────

[メイン]   : ─────"邯鄲の夢"。

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 : 天に突き立てられる人造の塔の数々の内、一際高いその建造物

[メイン] 甘粕正彦 : その屋上で、甘粕は林檎を手遊びながら、ふんぞりかえっていた

[メイン] 甘粕正彦 : 何かを待ちかねるように

[メイン] 甘粕正彦 : 退屈を堪えるように

[メイン] 甘粕正彦 : 荒ぶる魂を鎮めるように

[メイン] キャロル : 人造の塔、その無数を掻き分けるが如く宙を浮き
移動する少女

[メイン] キャロル : ビル群の中を浮き進みつつも、反応とやらは一切無い
人がいないのであればこのような事態は反応が無いのは道理だろう

[メイン] 甘粕正彦 : 「……来たか」

[メイン] キャロル : そして
声の方を向いて

[メイン] キャロル : 「……それは?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「言わずともわかるだろう?」

[メイン] キャロル : ビルの向かい側、屋上より少し離れた電線付近にて
少女は分かりきったことを問いかける

[メイン] 甘粕正彦 : 真っ直ぐとキャロルを見つめる瞳には、揶揄う意図はカケラもない

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前の求めていた、叡智。その種だよ」

[メイン] キャロル : 「で、あるならば次にオレが言う言葉もわかるだろう?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「聞くまでもなく」

[メイン] キャロル : 廃病院で邂逅した時とは全くの別の姿
名残は少女の見た目だがその武装には確かな力を感じさせる佇まいで問いかけ───

[メイン] キャロル : 手を差し出して、その林檎を渡してもらえるように促す

[メイン] キャロル : 「叡智などに興味は無いと聞いてたからな」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……ああ、それは事実だが」

[メイン] 甘粕正彦 : 「少し驚いたな、先触れこそあったが、もう少し威圧に洒落込むかと思ったが」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……落ち着いているな」

[メイン] キャロル : 「……フン、どうとでも言うがいい」

[メイン] キャロル : 実際、この街に来たばかりの自分なら男の言う通りに振る舞っていただろう
それをしないと言うことは、つまりは───

[メイン] 甘粕正彦 : 「成長した、というわけだ」
「いやはや……やはり、幼子とは侮れん」

[メイン] 甘粕正彦 : 「だからこそ、少し疑問ではある」
「お前は、今更こんな物が必要なのか?」

[メイン] 甘粕正彦 : 吊り下げる様に適当に林檎を摘み、手前に差し出す

[メイン] キャロル : 「……そうさな」

[メイン] キャロル : 「一度定めた夢を諦めるつもりはない…とでも言わせていただこうか」

[メイン] 甘粕正彦 : ニヤリ、と微笑み

[メイン] キャロル : 少女は空を飛びつつ、少しずつ男のいる屋上にと近付きつつも

[メイン] 甘粕正彦 : 「なるほど、夢か……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「では……今更ではあるが、決戦も近い」
「互いの夢を語り合う、そういった禊は終わらせておこうか」

[メイン] 甘粕正彦 : 互いの目指す物を知り、事前に悔いを潰しておこう

[メイン] キャロル : 「…そうさせてもらうとしようか」

[メイン] キャロル : と、屋上の欄干
その手前側…つまりは後一歩踏み出せば飛び降りれる…そのような場所まで浮き、背を預ける

[メイン] 甘粕正彦 : 「では、まずは若者の夢を聞かせてもらおうか」

[メイン] 甘粕正彦 : 「叡智……世界に繋がる知恵の結晶、それを何故求めているのだ?」

[メイン] キャロル : 腰に少し手を当てつつ

[メイン] キャロル : 「前に話はしただろう?オレの欠けた物を埋める為だと」

[メイン] キャロル : 「ただ…一つ大きな理由を挙げるとするのであれば」

[メイン] キャロル : 「全てを理解した上で、己の目でこの世界を理解する」

[メイン] キャロル : そう それは錬金術の本懐の一つ

[メイン] キャロル : 結局のところ、『識る』だけでは理解とはならない

[メイン] キャロル : 『識り』、それを己の目で『検べ』、世界を『理解』する

[メイン] キャロル : 「故にオレは、知恵を得て己の経験と言う名の穴を埋め……無限の時の中で全てを識る」

[メイン] キャロル : 「識る事ができるように、あらゆる物を客観的に識る叡智を求める」

[メイン] キャロル : 「それがオレの夢、この世界に来たオレが定めた初めての命題」

[メイン] 甘粕正彦 : 「なるほど……己を埋めるか」

[メイン] 甘粕正彦 : 「良い夢だ、かつての妄執に振り回されるわけでもなく、かといえば己を奪われたと女々しく嘆いてもいない」

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前は今を生きる命として己を定めてみせた、生物としての本懐を果たしている……尊重しよう」

[メイン] キャロル : 「……そうか」

[メイン] キャロル : 素気なく返事をする

[メイン] キャロル : 「だからこそこちらからも問おうか、何故貴様はこの場にいる?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「人々の輝き……それを、守り抜かんとするからだよ」

[メイン] 甘粕正彦 : 「人は、それぞれ輝きを持つ……が、それを活かす機会が、今の世の何処にある?」

[メイン] キャロル : 「腑に落ちないぞ、輝きを守るのであれば多くの人間を救うことに着手すればいいものの」
と、口挟んだ所で少し黙り

[メイン] キャロル : 「……待て、貴様まさか」

[メイン] 甘粕正彦 : 「どうした、何か疑問でもあるのか?」

[メイン] キャロル : 「人間がその輝きを発揮できる場を作り出す…とでも言うのではないだろうな」

[メイン] キャロル : 疑念ではなく、一種の確信を込めて

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、そうだとも」
三日月のような笑みを持って、確信へ微笑み返す

[メイン] 甘粕正彦 : 「父が子を抱く時、誰しもこの様に思うだろう」

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前を、絶対に守り抜いてやる」
「どんな危機とて、命を賭して遠ざけてみせる、とな」

[メイン] キャロル : 一度世界を分解しようとした自身だからこその疑念、確信ではあったが
まさか本気だとはな、と思いつつも

[メイン] 甘粕正彦 : 「これは恋人、友人、舎弟、民草、万民に通用する話だが……」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……それを、示す機会がこの世界の何処にある?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「平穏の中で腑抜けた男の戯言と、所詮一時だけの言葉と言われて、否定しきれるだろうか?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……残念ながら、それは否だ」

[メイン] 甘粕正彦 : 「何故なら、この世は平穏そのもの……機会などいつ訪れるかわからぬし、もし訪れても、大抵は共にない時だ」

[メイン] 甘粕正彦 : 平和の価値は否定などしない、が……
人々の持つ尊き意思を、平然と腐敗させ続けるのが平穏? これが、俺が夢見た未来だと?

[メイン] 甘粕正彦 : 「……否、そうであってはならん」

[メイン] 甘粕正彦 : 「示す機会は、誰とてあるべきだ」
「己の中にある輝きは誠であり、誓いを果たす覚悟があるという事も……」

[メイン] キャロル : 「だからと言ってそれを一個人で、合意も無く引き起こすつもりか!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、勿論……だが、対等だろう?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「守らんとする者が一人、壊さんとする者が一人、多数で押しつぶすわけでもなく」
「くだらぬ倫理で責めもしない」

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前の輝きでもってして、愛を示せと言うだけさ」

[メイン] キャロル : 「…よーく理解したさ」

[メイン] キャロル : 「確かに、安心感から腐敗し…異端を排斥する様な輩は古今東西から存在している…」
「そんな存在を淘汰しようとするやり方を昔のオレなら否定はしなかっただろう」

[メイン] キャロル : 「だからこそ一つ問おうか」

[メイン] キャロル : 「与えた後貴様はどうするつもりだ?」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……ふむ?」

[メイン] キャロル : 昔のある男は自身に対し、分解した後何をするのかと問うてきた事があった

[メイン] キャロル : ならば、輝きを持つ者だけが生き残る世界を作った後この男は何をするつもりなのだろうか

[メイン] 甘粕正彦 : 「ぱらいそを作り上げた後……か、なら単純だよ」

[メイン] 甘粕正彦 : 「また、同じ事をする、そうせねば輝きは褪せるのみだと知るが故に」

[メイン] 甘粕正彦 : 要するに、例え甘粕を全力で打ち倒しても
また同じ輝きが見たいからまた殴る
そういった暴論をいけしゃしゃあと掲げている

[メイン] キャロル : 「なるほど、な」

[メイン] キャロル : どこか苦笑するように告げた

[メイン] キャロル : それは 結局の所

[メイン] キャロル : 策謀巡らす理想と真実の支配者と根本的思想は変わりはしない

[メイン] 甘粕正彦 : まあ、その通り

[メイン] 甘粕正彦 : 欲しいから、欲しいだけ手を伸ばす。
欲望の抑えが効かない阿保の所業、その属性が光に近いというだけで、なんら変わりないと言っていい

[メイン] キャロル : つまり

[メイン] キャロル : この男と ゲーチスと名乗っていた男は

[メイン] キャロル : 白と 黒で分かれているだけであり

[メイン] キャロル : 本質は一切変わらない
ので、あれば

[メイン] キャロル : 「昔のオレなら同意していたかも、な。それこそこの世界に来た時なら」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ほう、それはそれは…」

[メイン] キャロル : 「ただ…まあ……」

[メイン] キャロル : 「生憎と……ここに来て色々な物を見たからな」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……なら、答えは一つか」

[メイン] キャロル : 「そうなるな」

[メイン] キャロル : 欄干に背を預けたまま

[メイン] 甘粕正彦 : 「未だ語りたい事もある、が……これ以上は、知人との空気でも無くなるか」

[メイン] キャロル : 今この時を以って

[メイン] キャロル : 生と死を別つ欄干は

[メイン] キャロル : ある意味ではそれと同じように

[メイン] キャロル : 男と女の、この戦いにおける夢を語り合った関係性を

[メイン] キャロル : 別つ様に

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 : 「今からは、強敵として、互いの夢を語らうとしよう」

[メイン] 甘粕正彦 : 勢いよく黒き刀身の軍刀を引き抜けば
空間ごと轢断する勢いで持って、眼前の少女へ切り掛かる

[メイン] 甘粕正彦 : 容姿による手加減、情けは一切不要
眼前の敵を、巨人とさえ想定して全力を込め、解き放つ

[メイン] キャロル : 宙に浮いた少女は

[メイン] キャロル : その指先を、空間を軋ませるが如く掻きむしり

[メイン] キャロル : 無数に現れた鋼糸が己を守り、男を絡めとるように展開される

[メイン] 甘粕正彦 : 突如現れた細く、されど鋼い系

[メイン] 甘粕正彦 : 対応のため、攻撃を緩め激撃を仕掛けるが……勢いのいい突進が仇になり、手足に纏わりつく糸を振り切れず、一旦止まる

[メイン] キャロル : そのまま
男の手足に纏わりついた糸がその四肢を引き裂くように万力が如く力がその華奢な肢体から発揮される

[メイン] キャロル : 「引き裂けろ!」

[メイン] 甘粕正彦 : まるで、人から出ていると思えぬ様な金切り音を立てながら、赤い線が男の体に刻まれ──

[メイン] 甘粕正彦 : 血波

[メイン] 甘粕正彦 : 「ククッ……やはり、この程度では仕留められるかッ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 常人であるならば、明らかな致命傷を負いながら、甘粕は自身の力を更に大きくしていく

[メイン] キャロル : 「……何?」

[メイン] キャロル : 力の流れは長年生きていたからこそ理解出来る

[メイン] キャロル : 致命傷ながらにこの男はその力を増しているのか…?

[メイン] 甘粕正彦 : 鋼の糸と、自身の力によって更に体が痛めつけられるが……構いもせず、フルスロットルで暴れ出す

[メイン] キャロル : ……このままでは自身の方も危ういか

[メイン] キャロル : 判断と同時に糸を指先から切り離し

[メイン] キャロル : 代わりにその一瞬を埋める様に左手指先から男の五臓六腑を穿つ様に糸を放出する

[メイン] 甘粕正彦 : 緩んだ糸を確認する刹那に、胸元へ飛び込む糸の槍、それへの迎撃手段は……

[メイン] 甘粕正彦 : 全身に、巻き付いている

[メイン] 甘粕正彦 : 己を中心に、回転の動きで鋼糸を巻き取り始め、その動きで糸の槍を逸らさんと叩きつける

[メイン] キャロル : その穿つ様に放たれた糸は、狙いを外れて逸れ─────

[メイン] キャロル : 「までが布石よな!」

[メイン] キャロル : 逸らした糸を僅かに手繰り

[メイン] キャロル : 男を巻き取っていた糸
今逸らされた五本の糸

[メイン] キャロル : これらを利用し糸で一つの錬成陣を描く

[メイン] キャロル : 対応する属性は"火"

[メイン] キャロル : 豪炎が、下にいる男を巻き込む様にに錬成陣から放たれる

[メイン] 甘粕正彦 : 完成と同時、周囲のチリが燃え始める
埃、砂、小さなものから消え始め 刹那

[メイン] 甘粕正彦 : 日光が地面から具現したとしか思えぬ光が
甘粕を覆い尽くした

[メイン] 甘粕正彦 : 「ぐっ!? うぉぉぉぉぉ!!!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 一瞬で灰にこそならずとも、全身が煮立つような痛みと、少しずつ消え始める触覚が死を予感させ────

[メイン] 甘粕正彦 : 「フフ、フハハッ!!それでこそぉぉぉ!!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕は、まさしく燃え上がり、返礼の炎を手元へと創造した

[メイン] 甘粕正彦 : 「リトルボォォォイ!!!!」

[メイン] リトルボーイ : かつて、守るべき国を焼いた悪魔の兵器

[メイン] リトルボーイ : されど、この強敵を相手には役不足……だが、まずは礼を返さねば

[メイン] 甘粕正彦 : 「受け取れェェ!!!」

[メイン] リトルボーイ : 爆発

[メイン] キャロル : その刹那をこの目で確認し

[メイン] リトルボーイ : 摩天楼の天辺付近が核の炎で真っ白に塗り潰されていく

[メイン] キャロル : ───術式を起動する

[メイン] キャロル : 錬金術師が追い求めたその術式の名は

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 『黄金錬成』

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 無数の方程式によって組み込まれた金色の盾

[メイン] キャロル : それらにより爆発、火炎、爆風を難なく受け流し

[メイン] 甘粕正彦 : 「フハハハハ!!やはり、耐えたか!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 核爆発を手元で引き起こした甘粕も、無論健在とそこに立っている

[メイン] キャロル : ……しかしまぁ

[メイン] 甘粕正彦 : 天辺付近の建造物は蒸発し、歪に建物が崩落していく

[メイン] キャロル : ここまでの大量殺戮兵器を瞬時に生み出せる物だ
と関心と畏敬を僅かに持ちつつ

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕は哄笑を上げながら、その地獄を悠々と飛んでいた

[メイン] 甘粕正彦 : 「黄金錬成……よもや、ここまでの品を拝めるとはなぁ」

[メイン] キャロル : 「こちらもまさか護国を打ち破った兵器を拝む羽目になるとは…な!」

[メイン] キャロル : 仕返しとばかりに、黄金の方程式が瞬時に組み変わり

[メイン] キャロル : 盾の機能を捨て、砲の機能を得たそれは

[メイン] キャロル : 甘粕目掛けて金色の粒子を撒きつつ放たれる

[メイン] 甘粕正彦 : 視界を覆う黄金の嵐、直撃すれば死は必須
されど、迎撃の為には白兵力が足りず……

[メイン] 甘粕正彦 : ならば、その差を埋めるのみ

[メイン]    :  

[メイン]   :  

[メイン] :  

[メイン] 甘粕正彦 : 手を激しく動かし、印を結び
夢を練り上げ

[メイン] 甘粕正彦 : 叫んだ

[メイン] 甘粕正彦 : 「――急段・顕象――」

[メイン] 甘粕正彦 : 「斯く在れかし・聖四文字ッ!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 瞬間、街を、いや国すら覆い甘粕の法が罷り通る

[メイン] 甘粕正彦 : そして、軍刀を黄金の嵐へ向け振り抜いた

[メイン] 甘粕正彦 : ──無論、完全迎撃など望むべくもなし

[メイン] 甘粕正彦 : これなるは黄金錬成、至上の錬金術師の究極奥義

[メイン] 甘粕正彦 : されど──まだ、甘粕は死なず その中を突き進んでいる

[メイン] キャロル : 「───」

[メイン] キャロル : 「面白い……ッ!」

[メイン] キャロル : 「ならばこそ」

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕の練り上げた夢、その効力は自己の強化と単純明快

[メイン] キャロル : 「何するものぞッ!!聖四文字ーーーーッ!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : だが、これは他者の協力を必須とする
……単純に言えば

[メイン] 甘粕正彦 : 強制協力による自己無限強化、それが聖四文字

[メイン] 甘粕正彦 : その条件は、甘粕に立ち向かう事

[メイン] 甘粕正彦 : 希望を抱き、絶望に屈さず

[メイン] 甘粕正彦 : 奇跡を起こし、立ち向かえ さすれば……

[メイン] 甘粕正彦 : 光の魔王が、お前の輝きに見合う苦難を与えよう

[メイン] キャロル : 黄金の刀を生み出し

[メイン] 甘粕正彦 : 「さあ、来い!!キャロル・マールス・ディーンハイム!!」

[メイン] キャロル : 突き進む男に鋒を向けて

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前の輝きを見せてみろッ!!黄金にも負けぬ、貴様の夢をぉぉぉ!!!!」

[メイン] キャロル : 「キャロル・マールス・ディーンハイムなどでは無い」

[メイン] キャロル : 「今のオレは…!」

[メイン] キャロル : 「想い出の守護者だッ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「失礼をしたな、詫びは──」

[メイン] キャロル : 黄金の流れを片手で放出しつつも突進

[メイン] 甘粕正彦 : 軍刀を雄々しく構え、黄金の嵐を切り拓きながら前へと進み

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺の全霊を持って示そう!」

[メイン] キャロル : 嵐を切り抜けた男に向けて、首先を切り落とす様に刀を振る─────

[メイン] 甘粕正彦 : 読んではいなかった

[メイン] 甘粕正彦 : 信じていた、お前なら……

[メイン] 甘粕正彦 : 「機を逃すはずが、ないとな」

[メイン] 甘粕正彦 : 当然、甘粕も必殺狙いの袈裟斬りを放つ

[メイン] 甘粕正彦 : 防御などは既に軟弱、全力衝突を望み渾身の力を込め軍刀を振るう

[メイン] キャロル : ダメだ
首先に一手届きはしない

[メイン] キャロル : 判断の前に咄嗟にその刃を軍刀を迎撃する様に動かし

[メイン] キャロル : 「………チィッ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 激しく激突する黒と金
先程の核爆発すら上回る爆音を響かせ鍔迫り合いへと移行する

[メイン] キャロル : 「ク…クッ……!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ククク……!」

[メイン] キャロル : 少女と成人男性と言う差は今この場において大した問題にはならない

[メイン] キャロル : 強いていうのであれば、本体のスペック
及び──────

[メイン] 甘粕正彦 : 実戦経験が物を言う

[メイン] 甘粕正彦 : 言ってしまえば、キャロルはどこまでも創作者

[メイン] 甘粕正彦 : 使用者、しかも軍人の甘粕と、白兵戦を行うには────

[メイン] 甘粕正彦 : 「まだ、スペックが足りないようだなッ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 鍔迫りを妙技で逸らし、勢いよき蹴りを叩き込む

[メイン] キャロル : 「グアッ………!」

[メイン] キャロル : と、蹴られた衝撃で背後まで飛ばされて

[メイン] 甘粕正彦 : 一旦、ここで距離が生まれる

[メイン] 甘粕正彦 : 束の間の後一瞬で砕け散る余韻だが、しばしの時が両者に生まれる

[メイン] キャロル : ビルまで勢い良く飛ばされ、磔が如く叩きつけられ

[メイン] 甘粕正彦 : 「さあ、まだまだだろう?」

[メイン] キャロル : そう スペックを埋めるのであれば

[メイン] キャロル : 自身が男のそれを超えるまで

[メイン] キャロル : どうやって?

[メイン] キャロル : 簡単だ

[メイン] キャロル :  

[メイン]   : ────戦場に、唄が

[メイン] キャロル : "腹立たしい"
"不安な世を踏み躙る"
"戦鬼は要らぬか答えろ"

[メイン] キャロル : 叩きつけられたビルが、金色の光に呑まれ───

[メイン] 甘粕正彦 : 残響が響く

[メイン] キャロル : 歌女の力を得た戦姫は

[メイン] キャロル : 黄金そのものの輝きを放ち君臨していた

[メイン] 甘粕正彦 : 音色が鳴り、羽ばたき、戦場へと黄金の羽を広げ飛翔する

[メイン] 甘粕正彦 : そのような、美しい光景を幻視して───

[メイン] 甘粕正彦 : 「ならば、よし!!」

[メイン] キャロル : その唄は

[メイン] 甘粕正彦 : 天を引き落とすように、大きく腕を掲げ、何かを掴む

[メイン] キャロル : 70億の全人類の命の輝き

[メイン] キャロル : それら全てを上回る出力を用いて

[メイン] 甘粕正彦 : 「降りしきれ、鋼の裁き」

[メイン] キャロル : "解とできない"
"煩わしいこの感情"
"捻じ込む餌食は何処だ"

[メイン] 甘粕正彦 : 「ロッズ・フロム・ゴォォォッド!!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 衛生兵器が十、百、千
時空を捻じ曲げ、大気圏へと創造される

[メイン] 甘粕正彦 : そして、その全てが……

[メイン] 甘粕正彦 : キャロルへ向けて、音速の壁を易々と突き破る神威の杖を撃ち放った

[メイン] キャロル : だからこそ

[メイン] キャロル : こうなることくらい予期していたオレは

[メイン] 甘粕正彦 : 空を染め、轟音の合唱を響かせながら、街へと殺戮兵器が迫り…

[メイン] キャロル : この街の中に仕掛けられた仕掛けを起動する

[メイン] キャロル : そう その一つは

[メイン] キャロル : 『天体を固定する星占術』

[メイン] キャロル : 何故か

[メイン] キャロル : 簡単だ
この術式を起動するには

[メイン] キャロル : 考えるべき事や不確定要素が多すぎるからだ

[メイン] キャロル :

[メイン] キャロル :

[メイン] キャロル : 「Περιέχει αλχημεία, αστρολογία και θεουργία Τρεις μεγάλοι σοφοί」
(錬金術・占星術・神働術を収めし偉大なる三賢者よ)

[メイン] キャロル : 「Γίνε μια ασπίδα που μπλοκάρει όλα τα πράγματα που πέφτουν πάνω σου」
(我が身に降り注ぐ万象を遮断する盾となれ)

[メイン] キャロル : 「三層防護術式!!」

[メイン] キャロル : 「Ἑρμῆς Τρισμέγιστος!!」
(ヘルメス・トリスメギストス)

[メイン] キャロル :  

[メイン] 甘粕正彦 : そして、結果が訪れる

[メイン] キャロル : 本来なら優れた技量の他に天体運行力学による時期の見定め、降魔儀式による下準備が必須の術式

[メイン] キャロル : されとて、そのあまりにも使用が厳しいそれを使ったのであれば

[メイン] キャロル : 轟音の合唱を齎す衛星兵器ですら
我が身を脅かす事はできない

[メイン] キャロル : 三重の無数の方程式が描かれた結界

[メイン] 甘粕正彦 : 次々と突き立てられ、そして虚しく弾かれる神威の杖
例え、神の名を冠していようが、所詮衛生

[メイン] 甘粕正彦 : 「惑星を担うお前に、敵う道理はない なるほどな」

[メイン] 甘粕正彦 : 天を仰ぎながら、笑みを深め感想を述べる

[メイン] キャロル : 返す音は鼻を鳴らすものと歌のみ
されどそれは相手の賞賛も込めたそれであり…

[メイン] キャロル : 「さて……こんなものではないだろう!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ハハハ!ああ、その通りだ!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 先程の大攻防の結果は、もはや国を跨ぎ世界に広がっている、結果────

[メイン] キャロル : "神も悪もどうでもいい"
"オレの立つ場所が"
"『全』だ"

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕の急段が、また物を言う

[メイン] 甘粕正彦 : 更に上昇した出力を武器に、勢いよく軍刀でもって今度こそ、空間を切断する

[メイン] 甘粕正彦 : ビルの群れを引き裂き、摩天楼を瓦礫の雨へと変えながら、再び白兵戦を仕掛けた

[メイン] キャロル : 次に用意するのは黄金で出来た"杖"

[メイン] キャロル : 本来武器として用いるには不向きなそれは
少女の圧倒的な記憶や体験から

[メイン] キャロル : 何より、70億の命の輝きを超えたそれを手に入れた少女の振るうそれは、先程と同じ結果にはさせまいと

[メイン] キャロル : 同じく白兵にて迎撃を試みる

[メイン] 甘粕正彦 : 結果、互いに意図は重なり
剣戟を一度再演する

[メイン] キャロル : 正しく自身の立つ場所こそが"全"と言わんばかりにその場から動かずに剣戟を再演し

[メイン] 甘粕正彦 : 空を割ったような爆音が響き、打ち合うだけで瓦礫の雨が砂へと変わる

[メイン] 甘粕正彦 : だが、ここまでの出力を持っても、甘粕はまだ致命を刻めていない

[メイン] 甘粕正彦 : 理由は明快、相手との技量の差を埋めるほど、キャロルの能力が上昇したから……
故に

[メイン] 甘粕正彦 : 「そろそろ、無銘の軍刀で相手をするのも無礼だな、馴染み深い奴を連れ出そう」

[メイン] 甘粕正彦 : 打ち合いの刹那、刀へ力場を纏わせ、伝説の魔剣を呼び出し。また振るう

[メイン] 甘粕正彦 : 「ダインスレイフ、貴様も、よく覚えているだろう!」

[メイン] キャロル : 撃ち合いの刹那。此方もまた少し身を離しつつ

[メイン] キャロル : 「呪われた旋律にも似た魔剣…されとて!」

[メイン] キャロル : 指を鳴らし、街に仕掛けたシステムの一つを発動する

[メイン] キャロル : 黄金に未知の叡智を宿すバビロニアの宝物庫
そこにアクセスを呼び起こし

[メイン] キャロル : 取り出すは神刀・天羽々斬

[メイン] 甘粕正彦 : 「ほほう…」

[メイン] キャロル : 「ダインスレイフの力はオレも良く知っている!故にオレもまた手馴れでは無いが昔を超えさせてもらおう!」

[メイン] キャロル : 神刀を携えて、そのまま突貫する

[メイン] 甘粕正彦 : 「その意気や良し!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 魔剣を携え、迎え撃つ

[メイン] キャロル : 撃ち合う魔剣は呪われた旋律を冠するダインスレイフ
であるならばこそ可能とするのは殲琴ダウルダブラの出力向上

[メイン] キャロル : 70億の命の輝きと2つの聖遺物による超破壊的共鳴
これらを用いて真っ向から甘粕を打ち破ろうと横薙ぎを繰り出す

[メイン] 甘粕正彦 : 龍の鳴き声と聞き間違う程の大声量の哄笑を上げ、キャロルの共鳴へと敢えて乗る

[メイン] 甘粕正彦 : 真髄を限界知らずに発揮する聖遺物を、真っ向から激突させる

[メイン] キャロル : 爆音 轟音
世界中を見渡しても恐らくこれほどの音はないだろうと感じさせる音を奏でた鍔迫り合いを引き起こす

[メイン] キャロル : "愛も憎しみも"
"不安な種ごと"
"赦してやろうと云うのだ"

[メイン] キャロル : 爆音の中
されとて少女の歌はその場にいる全てを釘付けとさせるが如く響き続ける

[メイン] 甘粕正彦 : 共鳴するかのように、絶叫を上げるダインスレイフ、刻まれ始めるヒビが、共鳴の終わりを予感させ──

[メイン] キャロル : そう、この鍔迫り合いにて意識を少し傾けさせ────

[メイン] キャロル : 周りのビルの変化に気が付かせない様に───

[メイン] キャロル : ビルに描かれているのは無数の錬成陣

[メイン] キャロル : その数 易く兆を超える

[メイン] キャロル : それらが無数の輝きを放ち

[メイン] キャロル : 綺羅星を彷彿とさせる

[メイン] キャロル : 『赤』
『青』
『緑』
『黄』

[メイン] キャロル : 対応する四属性
それらを忠実に再現した極小の光線を

[メイン] キャロル : ただ1人の男に対して解き放つ!

[メイン] 甘粕正彦 : 「──グッ!?」

[メイン] キャロル : 「焼かれ固まり切り刻まれて溺死しろ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 自然現象へと押しつぶされながら、ゆっくりと勝利の天秤がキャロルへ傾く

[メイン] 甘粕正彦 : ゆっくりと体の動きを奪いながら、迅速に命の灯火を吹き消そうと属性の群れが唸りを上げる

[メイン] 甘粕正彦 : 故、甘粕は、ここで万象を焼き尽くすことを求められた なら

[メイン] キャロル : 「貴様が無数の想像によりその能力を具現化させている事は知っている!だからこそその思考を奪うほどの超連続攻撃が起きれば!」

[メイン] 甘粕正彦 : 必然、何もできない

[メイン] 甘粕正彦 : ただし

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕の意志が、ゆっくりと自然へと押し勝ち始める

[メイン] 甘粕正彦 : 「まだだ、諦めんぞ、見るがいい……!!」

[メイン] キャロル : 「森羅の力を以ってしても尚貴様は不滅か!」

[メイン] キャロル : 大きく焦りの顔を生み出しつつも、警戒を最大限に

[メイン] 甘粕正彦 : そして、印を

[メイン] :  

[メイン]   :  

[メイン]    :  

[メイン] 甘粕正彦 : 「――終段・顕象――」

[メイン] 甘粕正彦 : 盧生、森羅万象をねじ伏せる最大奥義が開張された

[メイン] 甘粕正彦 : 「地の底から、全てを呑み出でよ、テュポーン!!!」

[メイン] テュポーン : 結果

[メイン] テュポーン : ギリシャ神話、最大の怪物が夢の奥底から現世へと迷い出る

[メイン] キャロル : 乾いた笑み

[メイン] キャロル : ハハハ、成る程

[メイン] キャロル : ─────怪物め!

[メイン] テュポーン : それは大災の根源

[メイン] テュポーン : 雷霆さえ地に伏させる最大の怪物性が、見当も付けず解き放たれた

[メイン] テュポーン : 地は砕け、風は散り、火は潰え、水は消える

[メイン] 甘粕正彦 : そして、甘粕がその頭上へと着地する

[メイン] キャロル : ────これはマズイ!

[メイン] キャロル : まだ逃げ遅れた面々がいることも知っている

[メイン] キャロル : 「あの窓付きと言う少女を含めた周りも巻き込むつもりか!」

[メイン] キャロル : 「この節操無しめ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「否定はせんよ」

[メイン] 甘粕正彦 : 「だが、奴ならこの程度どうという事はない」

[メイン] キャロル : 「何を根拠に!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「輝きを信じる故、貴様こそ、奴の一体何を見ていた」

[メイン] 甘粕正彦 : 「アレは、お前と共に人に成り上がったのだろう?だから、お前は奴を一人にしてここへ来た」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……なら、何を案ずる事がある」

[メイン] 甘粕正彦 : 「例え、窓付き自身が非力だとしても」

[メイン] 甘粕正彦 : 「人として掴んだものが、アイツを守ってくれる」

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺は、そう信じている」

[メイン] 甘粕正彦 : 一切の澱みなく甘粕正彦は言い切った

[メイン] キャロル : 「やはり怪物だな貴様はァ!」

[メイン] キャロル : そう言い放ち、少女はあるビル前にまで瞬時に移動する

[メイン] キャロル : そう 自分が守るべき本来なら怪物と称されていたあの龍を 巻き込まないためにも
だからこそ 無敵の防護壁は街全てを守るには至らず 

[メイン] キャロル : 「Ήλιος Τρισμέγιστος!!」
(ヘリオストリスメギストス)
再び防御壁を、その秩序無き破壊から己とその従者を守るが如く展開するしか無かった

[メイン] テュポーン : なれば、必然暴威が街の隅々まで蹂躙した

[メイン] テュポーン : まるで霞のように消えゆく命、されどその中にも一際輝く者達は必死に抵抗し……

[メイン] 甘粕正彦 : それが、甘粕の新たな力になる

[メイン] キャロル : ──────────

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕の目指すぱらいその縮図が、そこにはあった
こんなことを続ければ、生き残れるのは限られた者ばかり

[メイン] キャロル : 命の 輝きを

[メイン] キャロル : 用いて 目の前の男を超えるには

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : "数式凌駕した交響楽"

[メイン] キャロル : "滅びの祭典"

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 自身の命を懸ける以外の道はない

[メイン] キャロル : 名を

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 『絶唱』

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 70億人の命の輝きを超える存在が

[メイン] キャロル : 自身の命の輝きを放つのであれば

[メイン] キャロル : 黄金は必然
太陽と昇華する

[メイン] キャロル : ……さて

[メイン] キャロル :

[メイン] キャロル : 「高くつくぞ───!!オレの歌はぁーッ!」

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 太陽の如き煌めきを放ちつつ
少女は神話に挑む

[メイン] キャロル : "世界を識れと云った"
"彼の日がまだ微笑む"

[メイン] キャロル : テュポーンの眼前まで迫り
手のひらに黄金錬成の陣を描きつつ

[メイン] キャロル : テュポーンの生命活動を確実に殺す様に
その煌めく光線を放つ

[メイン] テュポーン : 突如出力を増したキャロルに焼かれ、異形の全身を蠢かせながら、怪物の命が尽きていく

[メイン] 甘粕正彦 : そして、テュポーンの出現から印を組み続けていた甘粕が、再び夢を練り上げ──

[メイン] 甘粕正彦 : 解き放とうとした

[メイン] 甘粕正彦 : 刹那

[メイン] アラヤ : 『悪いが、それ以上は広がりすぎる』
『もう少し、広い場所で頼むよ』

[メイン] アラヤ : 極光が、甘粕とキャロルを中心に煌めき
全てを引き摺り込んでいく

[メイン] アラヤ : そして、光が収まれば……

[メイン] アラヤ : 空間、と表現する事も難しい世界が、二人を出迎えた

[メイン] 甘粕正彦 : 「……夢界か」

[メイン] キャロル : 「……そのようだ」

[メイン] アラヤ : そこは、集合無意識へと繋がる世界
この場での試練を越える事で、盧生は完成する、が それが目的では無論ない

[メイン] アラヤ : 『やあ。今回はこちらの住人が迷惑を掛けているね』

[メイン] アラヤ : キャロルへと、なんの抑揚も無い声が言葉をかける

[メイン] キャロル : 『……何者…いや、者では無いか』

[メイン] アラヤ : 『ああ、理解が早くて助かるよ』

[メイン] アラヤ : 『君は別世界の誰かである以上、”私“ではないからね』

[メイン] アラヤ : 『理解してもらわなくては、当然話が通じない』

[メイン] キャロル : 『フン……成る程な。貴様が奴の力の根源を成す集合無意識と言うやつか』

[メイン] アラヤ : 『肯定しよう、僕は君を招く際に作られた、集合無意識への窓口』

[メイン] アラヤ : 『アラヤ』

[メイン] アラヤ : 『今回は、協力の要請に来た……というのは、既に察しているだろう?』

[メイン] キャロル : 『……それが目の前の奴の事を指しているのかまでは未だに理解は及ばんが…な!』

[メイン] キャロル : 『まあ…悪くは無かったとだけ伝えておこうか。完全にバックアップも失せ消えゆくオレをこの世界に招いた事はな』

[メイン] アラヤ : 『ああ、そこまで察してくれていたなら都合がいい、少しのバグもあったろうが……まあ、平気そうだね』

[メイン] キャロル : 『であるならば問おうか、オレは目の前のあの男を撃ち倒せばいいのか否か。ハッキリ言え』

[メイン] アラヤ : 『ああ、そうだ。君には甘粕を倒してもらいたい』
『本来なら、もっと適任の者達がいた……らしいけれど、いないのだから仕方がない』

[メイン] アラヤ : 『まあ、君なら大丈夫だろう』

[メイン] アラヤ : アラヤは淡々と言葉を降す
助けを求めているというのに必死さえないその声は、不気味と評する他がない

[メイン] キャロル : 不気味ではあるが…まあ、超常を超えた存在であるならばこの反応も頷けると1人納得している

[メイン] キャロル : 現に自分達の世界で神の如き存在達は何もそうだった
だからこそ此方も動きやすかったのはあるが

[メイン] アラヤ : 『あのままだと、君は世界に遠慮する羽目になっていただろうから、ここへ呼び出したけど……気をつけてくれ、根源に近い事で、甘粕の出力の制限も取り払われている』

[メイン] :  

[メイン]   :  

[メイン]    :  

[メイン] 甘粕正彦 : 「――終段・顕象――」

[メイン] アラヤ : 『あの通りね』

[メイン] 甘粕正彦 : 「氷檻を砕き、無限の明日を、焔剣で持って切り拓け!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「スルト!!」

[メイン] スルト : 夢として放たれたソレが、北欧最大火力として姿を示す

[メイン] キャロル : 『……いいだろう、ただ覚えておくんだな』

[メイン] キャロル : "地にひれ伏せ"
"高く付くぞ?オレの歌は"

[メイン] アラヤ : 『ああ、覚えておくよ。世界が滅ぶよりは安上がりと思うとしよう』

[メイン] アラヤ : 『さて、君とて知っている通り、スルトの武器を振らせてはいけない 今から全力で仕留める事を推奨する』

[メイン] キャロル : 『既に』

[メイン] キャロル : 『準備済みだ!』

[メイン] キャロル : スルトの四方に

[メイン] キャロル : 四つの色をそれぞれ冠した錬成陣を展開

[メイン] キャロル : 「神話体系は既に解析済み!」

[メイン] キャロル : 「故に貴様とそいつを不純物と定めて分解するまで!」

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 「Κατανοήστε τα πάντα, διαλύτη λύση, 」
(万物を理解せし溶媒液よ、)

[メイン] キャロル : 「χρησιμοποιήστε αυτή τη δύναμη για να φέρετε την καταστροφή στους εχθρούς!」
(その力を用いて我が敵に滅びを齎せ)

[メイン] キャロル : 「Αλκαχέστη!!」
(アルカヘスタ)

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 嘗て、歌の神を分解する手前まで持ち込んだ術式は
今回は解析と出力の更なる向上により

[メイン] キャロル : その名の通り

[メイン] キャロル : ────あらゆるものを分解する溶媒の如き働きを齎すッ!

[メイン] スルト : そして、神は文字通り分解され続け、刀は振り下ろされる前に夢へと還り……

[メイン] アラヤ : 『まさしく、効果的面だ。目立った弱点のないスルトの欠点を一撃で付くとは、素晴らしい観察眼だ』

[メイン] アラヤ : 『アレの弱点は、簡単に言えば不安定な事さ、不定型な炎の体、死因さえもわかっていない 故に……』

[メイン] キャロル : 『……ああ!』

[メイン] キャロル : そのまま─────!
黄金の陣を再び展開、その数無数

[メイン] キャロル : 一斉に砲となった錬成陣を甘粕本体に照準を合わせ

[メイン] キャロル : ───全弾発射ッ!

[メイン] キャロル : 無限に近い黄金弾が、甘粕を穿とうと

[メイン] 甘粕正彦 : 「ぐ うおぉァァ!!」

[メイン] キャロル : 「そのまま……滅びろッ!」

[メイン] 甘粕正彦 : さながら金の波のように訪れる破滅の弾丸に、全身を削られ血反吐を吐く

[メイン] 甘粕正彦 : 「まだ、まだァァ…!!」

[メイン] キャロル : "逆流して核と燃える古(いにしえ)よ"
"最後の日記は何か?"
"然れど消えるその瞬間見せて欲しい"
"撫でられ抱かれた夢を"

[メイン] キャロル : ………まだか!?

[メイン] キャロル : 『想い出』を燃焼し続ける錬金術と『命』を燃焼する絶唱
その負荷は壮絶故に仕留めねばならぬのだが!

[メイン] 甘粕正彦 : また印を組み、夢を解き放つ

[メイン] 甘粕正彦 : 「やがて、夜が明け闇が晴れお前の心を照らすまで」

[メイン] 甘粕正彦 : 「我が言葉を灯火として抱くがいい」

[メイン] 甘粕正彦 : 「――終段・顕象――」

[メイン] 甘粕正彦 : 「出い黎明、光輝を運べ――明けの明星ォ!!」

[メイン] 明けの明星 : またもや、命ずるがまま、光の権化が現れる

[メイン] 明けの明星 : そして、黄金の弾丸達へと手を伸ばすと──

[メイン] 明けの明星 : 止まる

[メイン] アラヤ : 『先に予告しよう、今からすぐに、君の弾丸から離れるんだ』

[メイン] キャロル : 『既にッ!』

[メイン] 明けの明星 : そして、キャロルを指す

[メイン] キャロル : 大きく距離を離し

[メイン] 明けの明星 : アラヤの予言通り、主人を変えた黄金の弾丸達が今度はキャロルへと襲いかかった

[メイン] キャロル : 「オレの術式をオレが理解出来ぬと思ったかッ!」

[メイン] キャロル : 古来より伝わる錬金秘奥の黄金錬成

[メイン] キャロル : 黄金錬成は四属性の調和により成り立つとされる
であるならば

[メイン] キャロル : 紅い蒼い碧の黄を重ね合わせた陣を作り出し

[メイン] キャロル : 四の属性を重ねた極大の光線を撃ち放つ

[メイン] 甘粕正彦 : 「これさえいなすか……だがッ!」

[メイン] キャロル : 全てを原子レベルまでに分解するその砲撃を甘粕含めて呑もうと放ちつつも、なお警戒は続けて

[メイン] 明けの明星 : 当然、と明けの明星も光線を解き放った。

[メイン] 明けの明星 : かつては光を抱いた明星さえ、ゆっくりと分解されていく

[メイン] 明けの明星 : 敵は、錬金の究極 光の究極であるルシフェルは有効ではあるが、練りが甘く
いささか闇が残っている

[メイン] 明けの明星 : 少しの拮抗を残し、明星は空を去り──

[メイン] 甘粕正彦 : その瞬きの間に、甘粕はまたあ新たな夢を繰り出した

[メイン] バロール : 瞬間、巨大な瞳が、全てを殺し始めた

[メイン] キャロル : 次はさせまい、と急速で甘粕の元まで飛来しようとし…

[メイン] キャロル : 「単眼の神すら呼び起こせるか!」

[メイン] アラヤ : 『……気をつけろ、察しているとは思うが、アレはバロールだ』
『見られたら、死ぬ』

[メイン] アラヤ : 『今、最適な武器を渡すが……反動は、覚悟してもらうよ』

[メイン] キャロル : 『無論そのつもりだ!』

[メイン] キャロル : 既に絶唱の反動は僅かに現れている

[メイン] キャロル : 眼からは血涙を流しているのがその証左だろう

[メイン] アラヤ : そして、アラヤの干渉を纏い、キャロルの手元にブリューナクが現れる

[メイン] アラヤ : 『急ぎ貫くんだ、余計な小手先はいらない。ソレを全力でぶつけてくれ』

[メイン] キャロル : "星々を見上げてると"
"己の小ささに嗤う"

[メイン] キャロル : 絶唱を乗せたブリューナクを急いで投擲

[メイン] バロール : 流星の如く投擲された槍が、魔眼を真っ向から撃ち抜いた

[メイン] キャロル : その隙に───

[メイン] キャロル : 甘粕の直ぐそばまで届き

[メイン] 甘粕正彦 : その一瞬、甘粕は大きな隙を晒していた

[メイン] 甘粕正彦 : キャロルの勇姿から目を離せなかった、という事情もあるが、単純に、過負荷の反動が大きく作用していた

[メイン] キャロル : 神と夢と人を繋ぐそれを断ち切るが如き鉄拳を腹に叩き込もうと

[メイン] キャロル : 指先から 口元から 眼から
負荷による血を垂れ流しつつ

[メイン] 甘粕正彦 : 避ける術なく

[メイン] キャロル : 甘粕の腹部に、戦姫の拳が行き届いた

[メイン] 甘粕正彦 : 「がぅっ!! ぐ、うぉぉぉおおおおおお!!!!」

[メイン] キャロル : 「うおおぉォォォォォオオオ!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 腹部へと内臓を叩き潰しながら、硬い拳が叩き込まれた

[メイン] 甘粕正彦 : さしもの甘粕も応えたのか、一撃を受け止めきれず、大きく隙を晒す

[メイン] キャロル : 朦朧としつつある意識のまま、その隙を逃さず

[メイン] キャロル : 甘粕が持つ
────禁断の果実へ手を伸ばし

[メイン] 甘粕正彦 : 懐から、むしろキャロルの手へと収まろうとしたように、果実が溢れ その手に渡る

[メイン] キャロル : 「……これで…終わりだ!」

[メイン] キャロル : と、その華奢な脚からは想像もできない様な速度で蹴りを放ち、甘粕にと──

[メイン] 甘粕正彦 : その一瞬、まるで時が止まったように
甘粕には見えていた

[メイン] 甘粕正彦 : 迫る死、放てぬ夢

[メイン] 甘粕正彦 : 先程の拳の正体は不明のままだが、夢へ通じる道が絶たれ、神格の召喚は不可能となり、既に甘粕に手札はない

[メイン] 甘粕正彦 : 詰み

[メイン] 甘粕正彦 :  

[メイン] 甘粕正彦 : 「いいや、まだだッ……!!奴が、神を超えてみせた前で、俺が……!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ただ、術に屈して、負けを認めていい理由など、ありはしないッ!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「ああ、そうだとも……何度でも言おう」

[メイン] キャロル : 「………ハハ、クソが……相変わらず出鱈目な奴め」

[メイン] キャロル : 「言ってみろ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 「諦めなければ夢は必ず叶うと信じているのだァッ!」

[メイン] 甘粕正彦 : 結果、甘粕を爆心地にして、夢界全てを震わせる雄叫びが挙げられた

[メイン] キャロル : 己の絶唱すら飲み込む雄叫びに血を流した眼を大きく見開き

[メイン] 甘粕正彦 : 「雄々ォォォァァ!!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 七穴墳血、血涙、傷跡からの噴水の如き大出血

[メイン] 甘粕正彦 : ソレら全てを匙と投げ捨て、甘粕は更に最大規模の神を呼び出し始める

[メイン] 甘粕正彦 : 「――終段・顕象――」

[メイン] 甘粕正彦 : 「唵・摩訶迦羅耶娑婆訶」

[メイン] 甘粕正彦 : 「大黒天摩訶迦羅ァァァァァ!!!!!」

[メイン] キャロル : 「マハーカーラ…だとォ!?」

[メイン] 大黒天 : ソレは、最大規模の破壊神
世界を作り直すため備えられた、最大最強の神の一つ

[メイン] アラヤ : 『……なるほど』

[メイン] キャロル : 昔の己の至上命題を為していた神を眼前にも、なお次の策を講じる

[メイン] アラヤ : 『甘粕が、神を呼び出せた理由だが……まあ、単純だよ。彼は世界との力比べに勝利した』

[メイン] アラヤ : 『錬金術、世界の法則さえ左右する事が可能な、凄まじい技術……ソレを、君が使っているんだ、本来なら敵う術などカケラもない』

[メイン] キャロル : 『何と出鱈目なやつだ…!』

[メイン] アラヤ : 『が、既に君が察する通り』

[メイン] アラヤ : 『術は、世界の中に収まる物だ、そこから突き抜けてしまえば、通らない』

[メイン] アラヤ : 『メチャクチャではあるが、まだ理解できる……さて』

[メイン] アラヤ : 『あの破壊神自体は、油断ならないが、既に君の勝利は目の前だ』
『甘粕は既に自壊寸前……後は、君が叡智を齧るだけで蹴りはつく』

[メイン] アラヤ : 『持久力の問題だよ』
『君とて短期決戦型だが、甘粕よりは無理をしていない』

[メイン] アラヤ : 『あの破壊神さえ何とかすれば……』

[メイン] キャロル : 『分かっている!』

[メイン] キャロル : 錬成陣、三度展開

[メイン] キャロル : 再現するのは

[メイン] キャロル : あの龍の想い出から見た二体の伝説
その神技

[メイン] キャロル : 「クロスフレイムッ!」
豪炎を超えた神炎が、マハーカーラへと

[メイン] キャロル : 「クロスサンダーッ!」
豪雷を超えた神雷が、マハーカーラへと

[メイン] 大黒天 : 三つ目の瞳で、真実と理想 その重なりを見つめる

[メイン] 大黒天 : そして、三叉の槍を構え
迎撃の為、これまでの中でも史上最大威力の熱線という形で神威を具現する

[メイン] 大黒天 : 一つは神雷へ

[メイン] 大黒天 : 一つは神炎へ

[メイン] 大黒天 : それぞれと拮抗しながら、最後の一つが、中間を捉え、キャロルを焼く隙を窺っている

[メイン] キャロル : 少女が展開する術式
黄金のそれは神威すら超越せしめんと光り輝き炎や雷に追随するように放たれる

[メイン] 大黒天 : 黄金の陣の加勢を受け、次第に神炎と神雷が中央へ引き寄せあい始める。
同時に、徐々に威力を増していき──

[メイン] 大黒天 : 互いの放ったエネルギーが臨界を迎え、大黒天を巻き込み世界を覆う程の爆発を引き起こした

[メイン] キャロル : 『黄金錬成』による盾で致命だけは免れたが…

[メイン] キャロル : 「…………どうだ!?」

[メイン] アラヤ : 『ああ、後は甘粕を……』

[メイン] キャロル : "亡くなる命の終の煌めきを"
"その目に焼き付け重ねよ"

[メイン] アラヤ : 『……いや、何だソレは 少し待て』

[メイン] :  

[メイン]   :  

[メイン]    :  

[メイン] 甘粕正彦 : 「お前の愛を、俺に見せろッ!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : これより起こることは、神々の夕暮れ
神話の終わりの、再演だ

[メイン] 甘粕正彦 : ……さあ、キャロル、お前の輝きを見せてみろッ!!!

[メイン] 甘粕正彦 : 「ラグナロォォォォォォクッッッッ!!!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 世界が揺れ、多くの陣が空へと敷かれ
されど、今はまだ何も起こらない

[メイン] キャロル : 渇いた笑いしか出ねえよ。
常識など今回で何度超えたか数えるのもやめたがそれら全て吹っ飛ぶくらいにはな。

[メイン] アラヤ : 『……アレはダメだ、一旦逃げる他ない』

[メイン] アラヤ : 『既に発動している』

[メイン] キャロル : 『……発動を終えた場合どうなる!?』

[メイン] アラヤ : 『完成までは、微かの余裕があるが……ああ、ソレを先に伝えよう』

[メイン] アラヤ : 『全てが終わる』

[メイン] アラヤ : 『今、空に広がる陣の中で起きているのは、神々の殺し合いだ、ソレも……』

[メイン] アラヤ : 『神話体型も、因縁も、全てがめちゃくちゃに詰め込まれている』

[メイン] キャロル : はっ。

[メイン] キャロル : それは。

[メイン] アラヤ : 『そして、その戦いの衝撃は────』

[メイン] キャロル : 人間の光輝くものなど到底見るためのものではないだろ。

[メイン] キャロル : バカかアイツ。
バカなんだろうな。

[メイン] アラヤ : 『まもなく、ここに到達する』

[メイン] 甘粕正彦 : そう甘粕は世界を滅ぼす技を、この場に置いてノリと勢いで解き放っていた

[メイン] キャロル : 守る輝きを消しとばしてどうするんだ。

[メイン] 甘粕正彦 : もしも世界を滅ぼせば、甘粕の愛する輝きは二度と見られなくなる
そんな事を承知しておきながら、ラグナロクを解き放った

[メイン] アラヤ : 『甘粕さえ、己の行動に驚いている、このような真似は、もはや人間では……いいや』

[メイン] キャロル : ああ。そう言えばコイツはノリと勢いだけで生きてたな。戦ってた思ったことだ。

[メイン] アラヤ : 『我々にも不可能だ』

[メイン] アラヤ : 『……故に、甘粕はもう、私達ではない』

[メイン] アラヤ : 『外敵として、排除する他ないだろう』

[メイン] キャロル : 酷く思考が冷静だ
何故だ…?

[メイン] キャロル : ああ そうか

[メイン] アラヤ : 『キャロル、君に対して我々の夢を最大限提供しよう、素質や、資格などは無視していい』

[メイン] アラヤ : 『無論、良くて廃人だが……アレを受ければ、どの道の話だ』

[メイン] キャロル : 『……』

[メイン] アラヤ : 『さあ、武器を、奇跡を選びたまえ』

[メイン] キャロル : 『しばし待て オレの撃つ一手を終えてから選ばせてもらおうか』

[メイン] アラヤ : 『ほう?』

[メイン] キャロル : 思い出は既に尽きている

[メイン] キャロル : これ以上の焼却は全てを失うことになるだろう

[メイン] キャロル : なら

[メイン] キャロル : と、禁断の果実を見て

[メイン] アラヤ : 『……ああ、なるほど』

[メイン] キャロル : "残響の温もりが調和への種火だと"
"共鳴の音符すら知らぬ無冠の王だ"
"只、武器になれるなら 只、盾になれるなら"
"死に堕つまで…!魂すらくれてやろう"

[メイン] キャロル : 歌を歌う事は未だに止めない

[メイン] キャロル : そして その果実を

[メイン] キャロル : 少女は

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 『分解』した

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : つまりは

[メイン] キャロル : 自身の夢を捨てるのと同義

[メイン] キャロル : つまりは

[メイン] キャロル : あのバカ男の様に夢を諦めるが如く挙動

[メイン] キャロル : 自身の夢を捨て去り

[メイン] キャロル : それら全てを燃料にして

[メイン] キャロル : あれを
止める

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 叡智も何もかもいらない

[メイン] キャロル : 今を守るために、そんなものは命と共に消し去ってやる

[メイン] キャロル : そして 神々の黄昏を終わらすための
最後の術式を 展開 詠唱する

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 「Περιέχει αλχημεία, αστρολογία και θεουργία Τρεις μεγάλοι σοφοί」
(錬金術・占星術・神働術を収めし偉大なる三賢者よ)

[メイン] キャロル : 「Κάψτε τις αναμνήσεις μου Γίνε ο ήλιος που καίει τα πάντα」
(我が思い出を焼却し、万象を焼却する太陽となれ)

[メイン] キャロル : 「Ήλιος Τρισμέγιστος!!!」
(ヘリオス・トリスメギストス)

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : それは、太陽そのもの

[メイン] キャロル : 少女の眼前に、太陽と同じエネルギーを持つ球体を

[メイン] キャロル : 3つ

[メイン] キャロル : 重ね合わせて

[メイン] キャロル : それは、龍を模した金色となりて

[メイン] キャロル : 宇宙のエネルギー其の物と言っても差し支えのないそれは

[メイン] キャロル : 神々の暴挙を止めるために羽撃く

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル : 「これが……オレの最後の錬金術だ!」

[メイン] キャロル : "想い出の残骸を焼却するsfz-スフォルツァンド-"

[メイン] キャロル : "その1音に懸ける誇り絶対の音楽"

[メイン] キャロル : "世界を識れと云った彼の日が柔く包む"

[メイン] キャロル : "地に平伏せ…高くつくぞ?オレノ歌ハ"

[メイン] キャロル : まずい 意識が 危うい
これで 止めないと 終わる

[メイン] 甘粕正彦 : 「────」

[メイン] キャロル : お前の 意志には 敬意を抱こう

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕はただ、夕暮れの先の少女を見つめていた

[メイン] キャロル : 集合無意識すら凌駕した それに対抗するには

[メイン] キャロル : オレも こうせざるを得ないのだから

[メイン] 甘粕正彦 : 己と同じく、夢を捨て去った者。
これまでの激突の中でも、最大のソレを叩きつけながらも、竜はこちらに向かい、止まらない

[メイン] 甘粕正彦 : 「……そうか」

[メイン] 甘粕正彦 : 「これまで、真実、俺は……同胞と。客観的に理解できる者を、見たことはなかった」

[メイン] 甘粕正彦 : 無論。甘粕とて友情の念はある
しかし、ソレは常に一方的な事が殆どだった

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕は、誰とも肩を並べず戦い、生きてきた

[メイン] 甘粕正彦 : 「……最後の最後で、出会う事があるとはな」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……そうか」

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺も、その様に生きる事は、できたか」

[メイン] キャロル : 「……できたさ、絶対にな」

[メイン] 甘粕正彦 : 「……そうか、ならば」

[メイン] 甘粕正彦 : 手を下ろし

[メイン] 甘粕正彦 : 「認めよう、俺の負けだッ!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 甘粕の敗因、それは、変化できなかった事

[メイン] 甘粕正彦 : 元より変わりようがない、自身に対して
甘粕は一種の諦観を抱いていた

[メイン] 甘粕正彦 : 「だが、俺の同胞たるお前が変われたのなら」

[メイン] 甘粕正彦 : “誰か”の為に、変わってあげられたなら

[メイン] 甘粕正彦 : 「ソレは、俺の愛が、悔しながら負けたという事!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 故に、認めよう。そして──

[メイン] 甘粕正彦 : 「俺達が愛した物を、どうか守り抜いてくれ、お前になら、全てを託せる!!」

[メイン] キャロル : "愛ヲ抱コウ 愛二終ワ…ル…"
最後の旋律を唱えて

[メイン] キャロル : 「…なんだ、やっと託す事ができたんだな」
と どこかで見てきたかの様に苦笑して

[メイン] キャロル : 「言われなくとも」

[メイン] 甘粕正彦 : 「フハハハ!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 手を上げながら、甘粕は黄昏を全て背負い、夢の果てへと消えていく

[メイン] 甘粕正彦 : 「万歳ッ!!万歳!!!万歳!!!!!」

[メイン] 甘粕正彦 : 心の奥底から、喜びを表し、黄昏により起きた事、全てを持ち去り

[メイン] 甘粕正彦 : 笑いながら、、、

[メイン] キャロル : ……全く

[メイン] キャロル : バカというのは死なないと治らないらしいな
昔のオレと同じで な

[メイン] キャロル : 血だらけの肢体、血だらけの顔
真っ赤に染まった服

[メイン] キャロル : ダウルダブラの変身も事切れて
そのまま……

[メイン] キャロル : いや まだ 帰る場所はあるか
と、奮起し

[メイン] キャロル : 「……さて」

[メイン] キャロル : 『要望には応えたぞ』
と、アラヤに向かって

[メイン] アラヤ : 『……お疲れ様、まさか、ああなるとはね』

[メイン] アラヤ : 『単に甘粕と互角になっただけなら、世界が終わるのみと諦めかけていたけれど……』

[メイン] アラヤ : 『なるほど、変われることを理解させる、か』

[メイン] アラヤ : 『その発想は、確かに彼の内部には一切無かった物、そこを打った君が、勝利を掴んだわけだ』

[メイン] キャロル : 『オレもこうなるまで一切思いついてなかったが…』

[メイン] キャロル : 『これもまた俗に言う"奇蹟"とやらなのかもしれないな』

[メイン] アラヤ : 『ありうる話ではある』

[メイン] アラヤ : 『私を持ってしても、奇跡とは理解しきれない……存在すら。確定しているとは言えない』

[メイン] アラヤ : 『ならば、ソレを掴んだ君に、返礼をするとしよう』

[メイン] キャロル : 『……高く付くぞ、と言った分には返してもらうつもりだったので丁度いいわけだ』

[メイン] キャロル : 『想い出に関してはまあいい。失った分はこれから取り戻す。肝心な部分までは損ねて無いからな』

[メイン] アラヤ : 『そうか、では……』

[メイン] アラヤ : 『君には、切符を託すとしよう』

[メイン] キャロル : 『故に───…切符、と』

[メイン] アラヤ : 『ギャラルホルン、物騒な名前だが、平行世界へのゲートを発生させる聖遺物だ』

[メイン] アラヤ : 『これを使えば、様々な世界を学ぶ機会が得られるだろう』

[メイン] アラヤ : 『林檎で知るよりは、君にとって好ましい報酬だと思うが……どうかな?』

[メイン] キャロル : 笑みを浮かべて

[メイン] キャロル : 『それで一向に構わない!』

[メイン] アラヤ : 『では、取引は成立だ。一応ね』

[メイン] アラヤ : 光がキャロルの手元へと集合し……明らかに、子供が抱えるには大きすぎるオブジェクトが出現する

[メイン] キャロル : 『っと』

[メイン] アラヤ : 『……少し大きいが、そのうち君の方がふさわしい大きさになるだろう』

[メイン] キャロル : 何とか抱え込んで

[メイン] キャロル : 『……ナリに関しては言及しなくとも良いッ!』

[メイン] アラヤ : 『君は、好んでその姿だと思っていたが……まあ、趣味に口は出さないよ』
『使い方は、触れていればわかるようになる、試しに、元の世界へと戻るといい』

[メイン] キャロル : 言われたままそれに触れて

[メイン] キャロル : 『……あの姿は想い出を多量に消費するからな』
と、濁したように話して

[メイン] キャロル : 『……もう2度と会わない事を切に願う』

[メイン] キャロル : 元の世界のゲートを開けて

[メイン] アラヤ : 『ああ、私もだよ。さようなら、キャロル』

[メイン] アラヤ : 『世界を識る旅を、楽しむといい』

[メイン] キャロル : 『ああ、世界を識る歌を携えてくるとしよう』

[メイン] キャロル : そして────帰還した

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :  

[メイン] キャロル :